昭和59年度に事業着手しながらも依然として土地買収が完了していない和歌山市の「市道坂田磯の浦線」について市は25日、県に対し土地収用法に基づく事業認定申請を行った。平成34年の完成を目指している。
市によると、同線は、県道粉河加太線と磯の浦海水浴場とを南北に結ぶ約1㌔。今月までに約83%の用地を取得しているが、5地権者のうち2地権者との交渉が進んでいないという。市は交渉難航の理由を明らかにしていないが、話し合いの場は持てているとしている。
同事業は、地域住民の生活道路と磯の浦海水浴場に来る海水浴客やサーフィン愛好家などの車を分離し、混雑などの改善を図ることが目的で、住民から早期完成の強い要望が寄せられているという。また、近い将来発生すると予想されている東南海・南海地震など津波災害発生時の避難路としても重要視されている。
土地収用法に基づく強制収用までには今後、複数の手続きが必要になるが、今回は市が事業推進へ一歩踏み込んだ形。尾花正啓市長は定例会見で「31年かけてもまだ形が見えていないので、必要な時期に用地を確保できる態勢をしっかり組んでいきたい」との考えを示した。