戦国時代に強力な鉄砲集団「雑賀衆」を率いた雑賀孫市にちなんだ「孫市まつり」(孫市の会主催)が29日、和歌山市鷺ノ森の鷺森別院などで開かれた。
11回目のことしは初の試みとして、恒例の武者行列と野外劇を融合させ、市内劇場型野外劇で展開。俳優の榎木孝明さんが監修し、甲冑(かっちゅう)姿の武者たちが練り歩きながら、まちなかを舞台に活劇を繰り広げた。
10万の信長軍を、3000の孫市軍が迎え撃つストーリー。あいにくの雨模様となったが、出発点となった和歌山城・一の橋には紀州雑賀鉄砲衆ら約180人が集結。榎木さんの力強い呼び掛けで行列がスタートし、ほら貝や太鼓の音が響く中、鷺森別院までの約2㌔を「雑賀を味方にした者が勝ち。紀州は孫市に任せよ」などと、時折勇ましく勝ちどきを上げながら歩いた。
和歌山市駅前では、大通りを境に敵軍との戦いを再現。地元の役者らでつくる紀州剣劇隊のメンバーが、せりふを交えながら迫力の立ち回りで熱演し、火縄銃の演武もあった。
孫市の大ファンで、横浜市から初めて見物に来たという会社員、勝野麻子さん(31)は「独立した勢力を築いた孫市は勇ましくてあこがれます。野外劇は駅前のスペースをうまく使って、かっこよかったです。興奮しました」と感激の様子だった。