3月29日付
絵手紙コンク表彰も とんまか雛通り閉幕
和歌山県紀の川市粉河の「とんまか通り」を雛(ひな)人形や絵手紙で彩るイベント「第5回粉河とんまか雛通り」が24日で閉幕。最終日は粉河寺内の御供所で、町に飾られた絵手紙の中から優れた作品をたたえる「絵手紙コンクール」の表彰式が行われた。
イベントは実行委員会主催で2月23日から始まり、通り沿いの商店や民家に雛人形や絵手紙が飾られた。
コンクールは「子どもの部」と「一般の部」があり、今回は「祭り」がテーマ。子どもの部に433枚、一般の部に286枚の応募があった。
児玉かよ子実行委員長は「市内の保育園児や小学生が多く応募してくれ、北海道や九州からも応募があった。本当に小学生が描いたのかと思うくらいレベルが高く、コンクールが地元に定着してきたと感じる」とあいさつ。来賓の中村愼司市長は「毎年応募が増えていると聞いており、本当にありがたい。10回目を目指していただき、どんどん多くの方が応募してくださるコンクールとなることを期待している」と述べた。
表彰式では受賞者一人ひとりに児玉委員長らから表彰状と記念品が手渡され、各作品の評価も紹介された。
子どもの部で大賞に輝いた市立川原小学校4年の鍋島奏登君(10)は、うちわを大きく描き、「わっしょいわっしょい」のメッセージを添えた。「大賞に選ばれたことを知った時はびっくりしましたが、とてもうれしかったです。祭りを楽しんでいる人の姿をイメージしました」と話していた。
受賞者は次の皆さん。
【子どもの部】
〔大賞〕鍋島奏登(川原小4年)
〔優秀賞〕大久保碧乃(粉河小5年)▽大久保瑠七(同小1年)▽藤井愛夏(岡山県)
〔特別賞〕赤沼夏帆(ガールスカウト)▽荒川愛(川原小4年)▽梅本真帆(麻生津小4年)▽岡井美葵(粉河小5年)▽助口倖明(同小5年)▽栂野琴音(麻生津小3年)▽服部莉子(粉河小1年)▽前川遼(同小3年)▽山本麻里愛(同小5年)▽吉井那瑠(麻生津小2年)
【一般の部】
〔大賞〕高浦弘子(大阪府)
〔優秀賞〕西本洋子(福岡県)▽樋口恵子(同)▽新井徹(大阪府)
〔特別賞〕岡本栄子(同)▽小川美津子(佐賀県)▽来原武子(滋賀県)▽山本紀美代(和歌山県)▽松永征子(佐賀県)▽田中美津子(和歌山県)▽下村ひとみ(福岡県)▽脇坂正義(兵庫県)▽﨑山恵子(福岡県)▽二井見祥法(広島県)
自転車でまちづくり 全国初のサミット開催
自転車による観光振興や住民の健康増進を図る「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」(会長=菅良二今治市長)による第1回全国シクロサミットが23日、和歌山市毛見のわかやま館で開かれ、加盟する市区町村の代表らが、自転車活用への士気を高めた。
同会は全国299自治体(うち近畿57)が加盟し、昨年11月に発足。サミットでは自転車の利活用や自治体の連携に向けたシンポジウムとサイクリングが行われた。
開会では会長の菅市長が「1回目となるシンポジウムを盛り上げ、自転車で走って機運を高めたい。『やるぞ』という気持ちを高められたら」と思いを述べた。自転車活用推進議員連盟会長の二階俊博自民党幹事長は「自転車1台あればできて、健康に効果的というスポーツは他にはないと思う。自転車振興を全国で進めてもらいたい」とあいさつした。
自転車新文化基金会の羅祥安(ら・しょうあん)会長は「ワールドオブサイクリング サイクリングの世界」と題した基調講演を行った。
台湾の自転車メーカー「ジャイアントグローバル」の最高顧問である羅会長は、自社の取り組みと台湾が自転車の聖地と呼ばれるようになるまでの経緯を紹介。約10年前、自転車が盛んではなかった台湾で、同社は新しい自転車文化を導入してサイクリング・アイランドにしようと動き始めた。レンタサイクルの専門店や台湾を自転車で一周するイベントを開催。国内で機運が盛り上がり、政府が国内一周できる自転車専用道を整備するなどしたことを話した。
また、地方自治体が自転車を盛り上げるには、トップによる長期的な政策やサイクリングロードの整備、専門店のような中核となる部分をつくることなどが必要だとした。
その後はエッセイストの一青妙さんや㈱シマノ、花王㈱和歌山工場などによる関連講演、参加自治体によるパネルディスカッションが行われた。翌24日は「わかやまサイクリングフェスタ」に参加した。
野球できる感謝胸に 選手の家族も声援
「野球ができることに感謝し、悔いのないように自分のプレーを出して楽しんでほしい」。山田佳吾選手の父の篤史さん(46)と母のこずえさん(43)、姉の紗弥加さん(19)が1塁側アルプスに駆け付け、山田選手の勇姿を見守った。
山田選手は昨年8月の練習中に左肩を脱臼。試合に出ることができず、悔しい思いをした。半田真一監督からの「待ってるからな」の声が手術に踏み切る勇気を与えてくれた。
手術後は年末まで体を動かさず安静に過ごし、ことし1月から軽いキャッチボールを開始。持ち前の前向きな性格と切り替えの早さで懸命にリハビリに取り組み、予定より早い復帰を果たした。
家族には「みんなが自分を甲子園に連れて来てくれたので恩返ししたい」と活躍を誓った。篤史さんは「諦めない姿勢が大事。最後まで大きな声を出して全力で戦ってほしいですね」とエール。こずえさんは「とにかく楽しんでほしいです」と温かいまなざしで見守った。
紗弥加さんは山田選手について「大口たたくことがあるけど、実際はビビり」と話し、「初戦の前日は『眠れない』と連絡が来たけれど『頑張って』と返した。やるときはやる男です」と笑顔だった。
山田選手は6番レフトで先発出場し、2回裏にはレフトへ、4回裏にはライト前へヒットを放ち、得意の広角に打ち分ける打撃を家族の前で見せつけた。
市高が8強一番乗り 52年ぶり準々決勝へ
同日行われた2回戦の第1試合では、市立和歌山が高松商(香川)を6―2で下し、1967年の第39回大会で前身の市和歌山商が8強入りして以来、52年ぶりに準々決勝へ進んだ。序盤に長打攻勢で主導権を握り前半で6点を奪うと、今大会初先発の柏山から岩本につなぐ投手リレーで終盤の相手の反撃をかわした。市高は8強一番乗り。準々決勝は9日目の31日第1試合を予定し、星陵(石川)―習志野(千葉)の勝者と対戦する。
高松商 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
市和歌山 | 1 | 2 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 6 |
〔高〕中塚、香川―新居〔市〕柏山、岩本―米田▽本塁打=緒方(市)▽3塁打=米田(市)▽2塁打=壱岐(市)
市高は1回裏、2死から3番の緒方が左中間に本塁打をたたき込み、1点を先制。2回裏は2死1、2塁から9番の壱岐が中越え適時2塁打を放ち2点を加えた。4回には相手投手の暴投などで3点を加え、高松商を突き放した。
先発した柏山は130㌔台中盤の直球で相手打線を詰まらせ、6回途中まで2失点の粘り強い投球。救援した岩本はピンチを併殺でしのぐと、打たせて取る投球で相手打線を無失点に抑えた。9回は2死満塁とされたが、最後の打者を中飛に打ち取った。
半田真一監督は「柏山は練習から状態が良く、きょうも粘り強く投げてくれた。打線も強引な振りが少なく、中堅を中心に打ち返してくれた。次につながるゲームだ」と声を弾ませ、今大会初先発で3打点を挙げた壱岐は「今朝先発を告げられ、朝食を食べられないほど緊張したが結果を出せてよかった。きょうの勝利は通過点。決勝で智弁とやりたい」と話していた。
智弁が猛打13得点 中谷監督が初勝利
第91回選抜高校野球は大会6日目の28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦1試合と2回戦2試合があり、第1試合では智弁和歌山が21世紀枠の熊本西(熊本)を13―2で下し、2回戦に進出した。大会8日目の30日、第3試合で啓新(福井)とベスト8を懸けて対戦する。
◇1回戦
智弁 | 0 | 0 | 4 | 7 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 13 |
熊本西 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
〔智〕池田陽、池田泰、山本、小林樹―東妻〔熊〕霜上、中山、白石、霜上―伊藤▽本塁打=東妻(智)▽3塁打=硲、根来(智)▽2塁打=佐藤2、綾原(智)
前回準優勝の智弁和歌山が18安打13得点で圧倒し、中谷仁監督の甲子園初陣を勝利で飾った。
打線は1点を追う3回、細川からの4連打などで4点を挙げ、逆転に成功。4回は東妻の左翼席への3ランを含む7安打を集める打者11人の猛攻で一挙7点を奪い、6回にも佐藤の適時2塁打などで2点を加点した。
投げては4投手が登板。先発の池田陽が4回1失点で試合をつくると、池田泰、山本、小林樹の継投でリードを守った。
甲子園初采配を勝利で飾った中谷監督は「先制されどうなるかと思ったが、選手たちがよく打ってくれた」と話し、投手陣については「絶対的なエースがいない中、各投手が与えられた場面で一球一球気持ちを込めて投げてくれた」とねぎらった。「シートノックで捕手の東妻が緊張しているのを見たら、自分も緊張してしまった。とにかく勝てて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せ「体力の回復法など、嶋先生にアドバイスを頂きながら次の試合に備えたい」と話していた。
県議選きょう告示 紀の川市は無投票へ
統一地方選前半戦の和歌山県議選(定数42)が29日、告示される。全14選挙区で53人が立候補の事前審査を済ませており、本紙エリアでは和歌山市、海南市・海草郡、岩出市の3選挙区が選挙戦となる見通しで、紀の川市は前回に続き無投票の公算が大きい。争点には南海トラフ地震などの防災対策、人口減少への対応、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の是非などが挙げられ、4月7日の投開票へ、9日間の戦いが始まる。
全県では、立候補の事前審査を済ませたのは党派別に、自民党28人、立憲民主党1人、国民民主党2人、公明党3人、共産党6人、日本維新の会1人、無所属12人。無投票が予想されるのは、紀の川市(定数3)、有田市(1)、田辺市(3)、新宮市(1)、伊都郡(1)、有田郡(2)の6選挙区。橋本市(3)が流動的となっている。
立候補の受け付けは午前8時半から午後5時まで、和歌山市は県庁、海南市・海草郡は同市役所、その他の選挙区は各振興局で行う。
本紙エリア4選挙区の告示前の情勢は次の通り(年齢は投票日現在)。
【和歌山市】
定数15に現職15人と、市議からくら替えする新人3人が立候補を予定し、激戦が予想される。
自民は、井出益弘(72)、宇治田栄蔵(68)、新島雄(67)、山下直也(63)、尾﨑太郎(53)、森礼子(50)の現職6氏を公認し、無所属新人の浦平美博氏(47)を推薦。公明は、前回の得票数トップ3を占めた中拓哉(62)、岩井弘次(61)、多田純一(65)の現職3氏の議席維持を目指す。
国民民主は前回民主党で当選した浦口高典氏(64)を擁立。共産は、前々回に失った1議席の回復に向け、現職の奥村規子(67)、新人の松坂美知子(62)の2氏が立候補する。維新は新人の林隆一氏(56)を立て、前回は維新の党で当選した菅原博之氏(62)が今回は無所属。現職の長坂隆司(62)、藤本眞利子(65)、片桐章浩(57)の3氏も無所属で再選を目指す。
【海南市・海草郡】
定数3に現職2、新人2の4人が立候補を予定している。
自民は当選8回のベテラン、尾崎要二(66)と議長を務める藤山将材(43)の現職2氏を立てる。海南市議から転戦の中西徹氏(46)は、市議選で4期連続トップ当選の地力があり、自民の2氏と重なる支持層が多く、混戦となりそう。
共産は、引退する現職の雑賀光夫氏の後継に、新人で元海南市議の河野敬二氏(69)を擁立し、議席の維持を図る。
【岩出市】
定数2を現職1、新人3の4人が争う構図となる見通し。
議席独占を維持したい自民は、現職の川畑哲哉氏(41)と、引退する山本茂博氏の後継として石田真敏総務大臣の元秘書、北山慎一氏(44)を擁立する。
国民民主は、前回衆院選に希望の党から出馬し、石田氏に敗れた坂田隆徳氏(39)を立てる。内海洋一氏(60)は自由党県連代表だが、野党結集を目指して無所属で挑む構えで、自由、社民両党の支援を受ける。
【紀の川市】
定数3。前回に続いて無投票となる公算が大きい。自民は山田正彦(77)、岸本健(48)の現職2氏、共産が新人の杉山俊雄氏(68)を擁立。前回自民で当選し、その後無所属となった服部一氏は引退する。
3月30日付
ねんりんピックボランティア募集 和歌山市
和歌山市は、ねんりんピック紀の国わかやま2019(11月10、11日)の市内で開催する4種目の運営ボランティアを募集している。
ゲートボール、テニス、卓球、水泳の4種目。紀三井寺公園競技場・補助競技場、つつじが丘テニスコート、和歌山ビッグウエーブ、秋葉山公園県民水泳場の各会場で会場内の案内や清掃、選手らへのドリンクと弁当の提供などが主な活動となる。
2004年4月1日以前に生まれた人で、原則2日間参加できる人が対象。服装、昼食付きで交通費の支給はない。定員は100人程度。
申し込みは電話か、市ホームページから申込用紙をダウンロードし、必要事項を記入して郵送、ファクスまたはメールで実行委員会事務局(℡073・435・1364、FAX073・435・1358、〒640―8511和歌山県和歌山市七番丁23、メールnenrin@city.wakayama.lg.jp)まで。5月31日締め切り。問い合わせも同じ。
災害対応へ連携協定 和歌山市と国土地理院
国土地理院と和歌山市が「地理空間情報の活用促進のための協力に関する協定」を結び、27日に市役所で締結式が行われた。国土地理院との協定締結は県内では初めて。
地理空間情報を相互に活用、提供して市民サービスを向上し、南海トラフ地震などの災害に対し迅速に対応できる協力関係をつくることが目的。国土地理院では災害時に飛行機を飛ばして被害状況が分かる航空写真の提供や、同所が提供するソフトウェアの活用サポートを行い、和歌山市は市道や河川、公共建造物の変化など情報提供の窓口を設け一本化し、よりスムーズな災害対応を行っていくとしている。
また、国土地理院は過去の自然災害を伝える石碑やモニュメントなど「自然災害伝承碑」の地図記号を新たに作成。地図の掲載に向け全国の自治体に情報提供を呼び掛けており、協定を情報提供のスタートにしていきたいとしている。
締結式では川﨑茂信院長と尾花正啓市長が協定書にサイン。川﨑院長は「情報を互いに有効活用することが地理空間情報の高度活用社会への取り組みの一歩になる。他への模範になるような優良事例を生み出せたら」、尾花市長は「災害時に地理情報からいち早く状況把握ができるようになるということで、南海トラフ地震をはじめ災害が予想される中で協定が結べるのは心強い」と話していた。
智弁×啓新、市高×習志野 県勢2校に期待
第91回選抜高校野球大会は6日目の28日、智弁和歌山と市立和歌山の和歌山県勢2校がそろって勝利。智弁は8日目(30日)の第3試合(午後2時開始予定)で啓新(福井)と、市高は9日目(31日)の準々決勝第1試合(午前8時半開始予定)で習志野(千葉)と激突する。智弁は啓新に勝てば同日の第4試合で明石商(兵庫)―大分(大分)の勝者と対戦する。
啓新は2012年創部で今大会が春夏通じ初出場。学校を挙げた野球部強化により、昨秋の北信越大会で準優勝した。今大会は27日の初戦で秋の関東王者の桐蔭学園(神奈川)に5―3で競り勝っている。
投手陣は右上手の安積から右横手の浦松への継投が基本。安積は初戦で外角へ落ちる変化球を有効に活用。浦松は勢いのある直球で打者の内角を突く強気の投球で相手打線を完璧に封じた。打線は昨秋の公式戦のチーム打率が2割8分7厘と高くないが、ここぞの場面で得点する勝負強さが光る。
智弁は熊本西との初戦で18安打を放った打線が序盤で安積を攻略し、投手陣が楽に投げられる展開に持ち込みたいところだ。
市高と対戦する習志野は10年ぶり4回目の出場。夏は2度の優勝経験があり、OBに阪神の4番打者として活躍した掛布雅之氏や現ヤクルト監督の小川淳司氏らがいる。
今大会は日章学園(宮崎)を8―2で破り、28日は優勝候補筆頭に挙げられていた星稜(石川)に3―1で競り勝った。最速151㌔を誇る大会一の好投手・奥川恭伸に10三振を奪われながら終盤に訪れた好機を生かした。
投手陣はテンポの良さと制球が武器の左腕・山内や右下手の岩沢が先発し、最速145㌔のキレの良い直球を持ち、高い制球力も光るエース右腕の飯塚につなぐ。
打線は日章学園戦で初回に一挙7点を挙げるなど、好機での集中力や機動力の高さが特長だ。
同校の吹奏楽部は応援歌を大音量で奏でることから「美爆音」と呼ばれており、準々決勝は両校の応援にも注目したい。
ぶらくり丁の朱洸ビル 56年の歴史に幕
和歌山県和歌山市のぶらくり丁内で、長年多くの市民に親しまれてきたファッション衣料の朱洸(辻節子社長)の現店舗が31日、56年の歴史に幕を閉じる。時代の最先端のファッションを求めた若者らと共に、昭和を駆け抜けてきた同店。辻社長は「地域の皆さまに愛され、きょうまで続けてこられました。感謝の気持ちしかありません」と話している。
1962年、同市中ノ店南ノ丁に現在の本社ビル(地上5階建)が完成。県内の衣料品店で初めて商品に値札を付け、誰もが同じ値段で購入できる「セルフ販売」を取り入れ、割引セールを行うなど、現在に通じる販売方法を確立させた。最盛期には県内を中心に、和歌浦や松江など最大10店舗を展開。時代のニーズに応えた品ぞろえと、温かみのある接客が多くの人々に愛されてきた。
築50年以上が経過した同店はここ数年、新たな耐震基準を満たすための補強を課題としてきたが、昨年9月の台風21号で屋上などに大きなダメージを受け、今後の営業継続が困難となり、閉店を決めた。
閉店の知らせを聞いた常連客らは一様に寂しげな様子で、市内に住む75歳の女性は「ここへ嫁に来てから、50年以上通っている。きょう着ている服も、この店で買ったもの。朱洸に来ると買い物だけでなく、顔なじみの従業員さんやお客さんとしゃべれて楽しかった。なくなってしまうのは本当に寂しい」と残念がった。中には「ちょっとやけど、有志で基金を募るので何とかならんかな」と願う常連客もいた。
閉店を惜しむのは常連客だけでない。1963年に18歳で入社し、56年間販売員として働いてきた畠中優子さん(74)は、就職のために箕島から出てきたという。「当時は先代社長(現会長)の自宅近くの寮で生活し、食事を共にするなど家族以上の間柄で本当に温かく育ててもらいました」と懐かしく振り返る。「朱洸は私の人生そのもの。これまでの感謝の気持ちを込めて最後まで精いっぱいお客さまに向き合いたいと思っています」と涙をこらえながら話した。
辻社長は「これからは、ぶらくり丁の『エルビアン』を朱洸として営業を続けます。規模は小さくなりますが情熱は変わりません。引き続き朱洸をよろしくお願いいたします」と、感謝とともに新たなスタートへ思いを込めている。
混戦の海南・海草 紀の川市は無投票当選へ
和歌山県議選が告示された29日、海南市・海草郡(定数3)、岩出市(2)、紀の川市(3)の3選挙区でも支持を訴える各候補の戦いがスタート。紀の川市は予想された3人以外に立候補の動きはなく、前回に続き無投票で3議席が決まる見通しとなっている。
ある新人候補は出陣式のあいさつで、若い世代が地域を引っ張ることの大切さを強調し、「誰かが前に出て故郷のことを真剣に考えなければならない」と述べ、「皆さんの大きな力を私に託してほしい」と支持を訴えた。
【海南市・海草郡】
立候補したのは届け出順に、自民現職の尾崎要二(66)、無所属新人の中西徹(46)、自民現職の藤山将材(43)、共産新人の河野敬二(69)の4候補。
現在の選挙区になって過去3回はいずれも自民2、共産1で議席を分け合ってきたが、海南市議4期連続トップ当選の中西候補の転戦により、構図が一変。尾崎、藤山両候補と中西候補は重なる支持層が多い上、新人の河野候補も引退する現職から支持層を引き継ぐタイミングにあたるため、票を奪い合う混戦が予想される。
【岩出市】
届け出順に、国民民主新人の坂田隆徳(39)、無所属新人の内海洋一(60)、自民現職の川畑哲哉(41)、自民新人の北山慎一(44)の4候補が出馬。自民系が2議席を独占してきた状況に風穴を開けようと、野党系の新人2候補が挑む構図となった。
内海候補は自由党県連代表だが、野党結集を目指して無所属での挑戦。自由、社民両党の支援を受けるが、国政では自由と連携を深めている国民民主の坂田候補に対抗する形になり、野党分裂の選挙となっている。
【紀の川市】
自民現職の山田正彦(77)、岸本健(48)、共産新人の杉山俊雄(68)の3候補が立候補し、無投票となる見込み。共産は同選挙区で初めて議席を獲得することになる。
【各候補の選挙事務所】
【海南市・海草郡】
尾崎要二候補=海南市井田156の1(℡073・483・1051)
中西徹候補=海南市下津町上157の3(℡090・6975・8749)
藤山将材候補=海南市重根360の1(℡073・487・1125)
河野敬二候補=海南市名高476メゾンベル名高(℡073・486・3884)
【岩出市】
坂田隆徳候補=西安上93の6(℡0736・69・5570)
内海洋一候補=水栖4の5(℡090・7757・1959)
川畑哲哉候補=備前40の3プチ・ツールアルファU(℡0736・67・8741)
北山慎一候補=北大池74の7(℡0736・79・3488)
【紀の川市】
山田正彦候補=貴志川町前田86の1(℡0736・64・8616)
岸本健候補=粉河773の6(℡0736・73・8899)
杉山俊雄候補=嶋127の1(℡0736・67・8633)
県政担う激戦始まる 14議席が無投票当選へ
統一地方選前半戦の和歌山県議選(定数42)が29日、告示され、全14選挙区で計52人が立候補を届け出た(午後2時現在)。本紙エリアでは、和歌山市、海南市・海草郡、岩出市の3選挙区が選挙戦に突入し、紀の川市は無投票で議席が決まる見通し。県都の和歌山市(定数15)は前回を1人上回る3人超過の激戦となり、防災対策やカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の是非などの政治課題を訴え、4月7日の投開票まで9日間の舌戦を繰り広げる。
全県では、立候補を届け出たのは党派別に、自民党28人、立憲民主党1人、国民民主党2人、公明党3人、共産党6人、日本維新の会1人、無所属11人。現職は36人、元職は1人、新人は15人となっている。
過半数の議席を持つ自民は公認に加えて無所属新人2人を推薦。公明は現職3人の議席確保を図る。民進党の分裂で誕生した立憲民主と国民民主はともに初の県議選。立憲は現職1人が無投票で議席を維持する見通しで、現有1議席の国民は1増を目指す。共産は現有2議席からの上積みを狙い、維新は1議席の確保が焦点となる。
無投票となりそうなのは紀の川市(定数3)、橋本市(3)、有田市(1)、田辺市(3)、新宮市(1)、伊都郡(1)、有田郡(2)の7選挙区。新たに立候補がなければ14議席が決まる。
28日現在の県内の選挙人名簿登録者数は82万364人で、前回選挙の告示前日(2015年4月2日)より7282人減少。本紙エリアの市町は、和歌山市31万1423人(前回比1874人増)、海南市4万4342人(同1249人減)、紀の川市5万3549人(同929人減)、岩出市4万4231人(同2230人増)、紀美野町8066人(同610人減)となっている。
【和歌山市】 現職15人全員が立候補し、元市議の3新人が切り崩しを狙う構図。党派別では、自民6人、国民民主1人、公明3人、共産2人、維新1人、無所属5人(自民推薦1)。
自民は現職6氏の公認に加え、無所属新人1氏を推薦し、県都の議席増も視野に入れる。公明は、前回の得票数トップ3を占めた現職3氏が今回もそろって出馬。国民民主は前回民主党で当選した現職の議席維持を図り、共産は1増の2議席を目指す。維新は、維新の党時代の前回に当選した現職が無所属となったため、改めて1議席確保を図る。無所属には、当選3回以上の地盤を持つベテラン現職が3人いる。
県庁で立候補の届け出を済ませた各候補は、選挙事務所などで出陣式。
前回上位当選の現職は、住民からの相談を基に議会で提案し、条例制定などに結び付けてきたことを語り「一つの声の後ろには、同じように悩んでいる多くの人がいる。皆さんの目の前にある課題を解決していくために議員はいる。皆さんの奉仕人になって全力で頑張る」と決意を述べ、必勝を願う支援者の千羽鶴や声援に送られ、選挙カーで出発した。
【各候補の選挙事務所】
【和歌山市】
新島雄候補=古屋204の1(℡073・488・5127)
林隆一候補=本町2丁目40聖―ソレイユビルB1(℡090・5677・3333)
藤本眞利子候補=杭ノ瀬107の7(℡073・472・6666)
多田純一候補=栗栖36の5(℡073・499・8481)
岩井弘次候補=北島325の38(℡073・455・5634)
森礼子候補=畑屋敷雁木丁37の2マツイビル102号(℡073・426・0017)
山下直也候補=口須佐1の1(℡073・488・6857)
奥村規子候補=善明寺411の4(℡073・455・1772)
宇治田栄蔵候補=小松原通1丁目2の6(℡073・433・3530)
長坂隆司候補=東高松2丁目9の38(℡073・427・0049)
尾﨑太郎候補=舟津町1丁目3の2(℡073・497・8050)
浦口高典候補=堀止西1丁目10の14(℡073・424・4860)
松坂美知子候補=中之島1134 1階(℡073・496・0611)
菅原博之候補=友田町3丁目21(℡073・424・3337)
中拓哉候補=久右衛門丁53(℡073・488・1388)
井出益弘候補=大谷10の1(℡073・488・5933)
浦平美博候補=松江北1丁目1の34(℡073・453・0012)
片桐章浩候補=津秦161の16(℡073・488・3963)
3月31日付
共同募金PRに協力 ファンファンらに感謝状
和歌山県共同募金会(会長=片山博臣㈱紀陽銀行代表取締役会長)が共同募金のPRに貢献した企業や団体をたたえる感謝状の贈呈式が27日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛であり、地域密着型アイドルグループ「Fun×Fam(ファンファン)」と和歌山新報社(同市福町)に片山会長から感謝状が贈られた。
同会は高額を寄付した団体に毎年感謝状を贈っており、今回は募金のPRに貢献した団体もたたえようと初めて実施した。
この日は同社の津村周社長(42)とファンファンのメンバー13人が出席。片山会長はファンファンに「さまざまなイベントでの明るい笑顔とパフォーマンスを通じ、共同募金を世の中の人にPRしていただきありがたい」と感謝。同社に対し「正確で信頼のあるニュース媒体であり、募金活動の実際をPRしていただいた」と話した。
片山会長から感謝状を受け取ったファンファンの須左美静奈キャプテン(18)は「PR活動を通じて地元の方とふれあう機会が増え、和歌山がさらに好きになった」と振り返り、津村社長は「誠にありがたい。引き続き地域の人に地元で共同募金の活動が行われていることを知ってもらうために努力していきたい」と話した。
式では、ファンファンがイベントなどで集めた寄付金34万9483円の目録を贈呈。片山会長から2019年度赤い羽根わかやまスペシャルサポーターの委嘱状を受け取った。同グループへの委嘱は3年連続となる。
早く一人前の社員に オークワグループ入社式
㈱オークワ(本社=和歌山市中島、神吉康成社長)は30日、本社に隣接する教育研修センターで2019年度の入社式を行った。
オークワグループで合計77人(男38人、女39人)が入社。新入社員は入場して神吉社長と握手を交わした。
大桑会長は「一日も早く一人前の社員になり、厳しくなる競争の中で先輩と共に収益力の向上に貢献してもらいたい」とあいさつ。神吉社長も「消費者になくてはならない生活産業として、誇りを持って業務に励んでもらいたい」と激励した。
先輩社員として岡田宗宏さん(23)は「働く中で心掛けていくこと、働きがいなど、人として大切なものを発見し、学ぶ手助けができたら。共に頑張りましょう」と祝辞。新入社員を代表し、平佳子さん(22)が「社会人になって感じること全てが自分や人々の笑顔になると信じ、誠心誠意勤務に努めます」と抱負を述べた。
現在地や到着情報 和歌山バスが新システム
和歌山バス㈱(和歌山県和歌山市和歌浦西、久保洋介社長)は4月1日の始発便から、スマートフォンなどで乗りたいバスの現在位置や到着情報を確認できるバスロケーションシステムを導入する。県内の路線では初めての試みで、路線バスの利用向上が期待される。
路線バスは一般道を走行するため、天候や渋滞、事故などの影響で定時性を確保できないことがあり、利用者に不安を与えることも多かった。システムの導入により、リアルタイムで運行情報が確認でき、バス待ちのストレス軽減なども期待される。
提供路線は高速バスなど一部路線を除く同社運行の全路線(主に和歌山市)。バス停に掲示のQRコードをスマートフォンや携帯電話で読み取ると、現在の運行状況が表示される。専用のWEBサイト(https://loc.bus-vision.jp/wakayama/view/searchStop.html)にアクセスすれば、自宅パソコンなどからも確認が可能。外国人観光客向けに英語版のWEBサイトも同日、同時オープンする。
またJR和歌山駅構内や和歌山マリーナシティ黒潮市場内、県立医科大学付属病院内の3カ所に液晶大型ディスプレイを設置。4カ国語に対応し、スマートフォンなどがなくても運行情報の確認ができる。
総事業費は8000万円。国や県、市が3分の2を負担する。またスマートフォン専用アプリケーションを4月1日から提供開始。今後は、全国共通のICカードの導入や大型ディスプレイの設置場所の拡大を予定している。
同社営業課は「利用者の負担が軽減し、スケジュールも立てやすくなる。より多くの人に使ってもらいたい」とし、県総合交通政策課は「利便性の向上へ導入路線を拡大していきたい。今後も事業者と協議していく」と話している。
共産が初の議席獲得 紀の川市3議席無投票
県議選(定数42)が告示された29日、全14選挙区のうち7選挙区14議席が無投票で決まった。本紙エリアでは紀の川市が2回連続の無投票となり、いずれも自民現職の山田正彦さん(77)と岸本健さん(48)、共産新人の杉山俊雄さん(68)の3人の当選が決まった。共産は同選挙区で初めて議席を獲得した。
紀の川市の各候補の選挙事務所には同日午後5時すぎ、無投票の連絡が入り、初当選を決めた杉山さんは約10分後に同市嶋の事務所に姿を見せた。
支援者一人ひとりと笑顔で握手し、親類らに電話で当選を報告。無投票での議席獲得には「思わぬ形で当選の実感がない」としながらも、「紀の川筋の自民党独占に風穴を開けたいと思っていた。地方から政治を変えたい」と決意。約40年に及ぶ教員経験を踏まえ、学校給食の無償化や給付型奨学金の拡充、長時間労働解消のための教員増を訴えるとし、「しっかりと勉強し、人に優しい政治を目指す」と力を込めた。
期日前投票始まる 県内34カ所で受け付け
和歌山県議選の期日前投票が30日、始まった。投票日前日の4月6日まで県内34カ所で受け付ける。
和歌山市は7カ所の期日前投票所を設置し、和歌山商工会議所1階市役所分館(西汀丁)には午前から有権者が断続的に姿を見せ、票を投じた人は「弱い立場の方のために活躍してくれる人を選びたい」「長年応援している人がいる。あまり(議員の顔ぶれが)変わってほしくはない」「低調な選挙の感じはするが、棄権はしないようにしている」などと話していた。
前回県議選(2015年)同市選挙区の期日前投票者数は2万5688人。投票率が低下傾向にある一方、期日前投票は、手続きがより簡便になっていることなどから利用が増加傾向にある。
本紙エリアの期日前投票所と開設時間は次の通り。
【和歌山市】和歌山商工会議所1階市役所分館(午前8時半~午後8時)▽河北コミュニティセンター1階(午前9時~午後8時)▽東部コミュニティセンター1階(同)▽南コミュニティセンター1階(同)▽さんさんセンター紀の川1階(同)▽河南コミュニティセンター1階(同)▽イオンモール和歌山3階イオンホール(午前10時~午後8時)
【海南市】市民会館第1集会室(午前8時半~午後8時)▽下津行政局第2研修室(同)▽住民センター和室(同)
【紀美野町】町役場1階会議室(午前8時半~午後8時)
【岩出市】市役所1階第1会議室(午前8時半~午後8時)