3月15日付
2人軽傷、鉄道に遅れも 紀伊水道の震度4
13日午後1時48分ごろ紀伊水道で発生した最大震度4の地震で、和歌山県内で2人が軽傷を負ったことが分かった。
県によると、白浜町の85歳女性が転倒して左こめかみを切り、橋本市の71歳女性も転倒して右足の付け根をけがした。
物的被害では、和歌山市の県民文化会館で3階会議室北側の窓ガラス1枚にひびが入った。県庁や和歌山市役所などでエレベーターが自動停止し、一時利用できなくなった。
JRきのくに線では、安全確認のため印南―湯浅間で約3時間にわたり徐行運転を実施。上下線14本が運休(部分運休含む)、23本に最大2時間51分の遅れが発生し、約5300人に影響した。
1年間の成果展示 16日まで和歌山市民大学
2018年度和歌山市民大学の受講生による作品展が16日まで、伝法橋南ノ丁の市民会館展示室で開かれている。
本年度の同大学は28講座を開設し、1、2年生の925が交流しながら学びを深めている。作品展は1年間の学習成果を発表する機会として毎年開催。今回は10講座から約220点の力作が出展されている。
会場には鳥や植物を描いた日本画、和歌山城や街並みの風景を描いた水彩画、一際目を引くフラワーアートなどが並び、来場した受講生らは興味深そうに作品に見入っていた。
展示は午前10時から午後4時まで。16日の正午からは同会館小ホールで民踊、コーラス、マジックなどの発表会、市民ホールでは初級社交ダンスがあり、計191人が出演する予定。入場無料。
ハバジットが紀の川市に工場増設 進出協定
工業用樹脂ベルトの加工・販売などを手掛けるハバジット日本㈱(東京都品川区、津川純代表取締役社長)は13日、和歌山県紀の川市長田中の和歌山工場を増設するにあたり、県、紀の川市と進出協定を結んだ。
同社は、世界的な樹脂ベルトメーカーであるスイスのハバジットAG社の子会社。食品産業用、搬送産業用、繊維産業用で使用されるコンベアベルトなどを生産し、取引先は大手メーカーを中心に約1000社に上る。
同市には和歌山工場を建設し、1988年に創業を開始。既存製品の需要増加や出荷までの生産効率の向上を図るため、隣接地(北長田)に新工場を増設する。投資額は約7億8500万円。操業は20年10月を予定している。
13日は県庁で調印式があり、津川社長や仁坂吉伸知事、中村愼司市長らが出席し、協定書にサインした。仁坂知事は「京奈和自動車ができたことで、簡単に安く全国へと行ける。市と一緒に助けていきたい」とし、中村市長は「今まで以上の成果を出し、雇用促進にもつなげてほしい」と述べた。津川社長は「世界ナンバーワンの樹脂ベルトメーカーとして、安定した雇用で貢献したい」と話した。
山﨑さん書道ライブも とらふす記念演奏会
和歌山で活動するクラシック音楽家らによる本紙のリレー連載「とらふすクラシック」の100回記念コンサートが21日に迫った。当日は、連載の題字を担当する海南市の書家・山﨑瀟さん(65)が開演前に書道パフオーマンスを行う。
「とらふすクラシック」は本紙毎週木曜日付に連載中。記念コンサートには執筆陣の演奏家らが出演し、10月に初開催される「きのくに音楽祭」のプレコンサートと位置付け、出演者は全てボランティアで、収益は同音楽祭に寄付する。
山﨑さんは古代中国で青銅器に刻まれた文字「金文」を書道で表現しようと取り組んでおり、「熊野八咫烏」など和歌山にちなんだ作品も手掛けている。当日は縦約70㌢、横約135㌢の和紙に「無事」の2文字を書く予定。来場者が希望する文字を山﨑さんが色紙に書くコーナーも設ける。
山﨑さんはクラシックが好きで、よくモーツァルトの曲を聴くという。「最近は災害が多く、犠牲になる人が出ないようにと思い『無事』と書くことを選びました。ぜひ楽しんでいただけたら」と話しており、来場を呼び掛けている。
コンサートは21日午後2時から、和歌山市本町のフォルテワジマ4階大ホールで。3部構成で、バッハやベートーベン、プロコフィエフ、ムソルグスキーなどの名曲を8人が演奏する。
入場には1000円以上の寄付が必要。定員先着200人。申し込みは1人4席まで、電話でフォルテワジマ(℡073・488・1900)へ。申し込み時に伝えられる予約番号を、当日の会場で確認する。
埴輪設置し復元整備完成 風土記の丘の古墳
和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)が進めてきた6世紀の前方後円墳「前山A58号墳」の復元整備が完成し、10日に記念セレモニーが行われた。出土した埴輪(はにわ)の実物大レプリカを墳丘に設置し、古墳時代の首長やみこ、埴輪職人に扮(ふん)した参加者が、当時の葬送儀礼を再現した。
前山A58号墳は特別史跡・岩橋千塚古墳群の一部で、6世紀前半に造られた小型の前方後円墳。2009年からの発掘調査で墳丘上に多数の円筒埴輪や形象埴輪、須恵器大甕(すえきおおがめ)が設置されていたことが明らかになり、「古墳とは何か」「古墳ではどのような儀礼が行われたのか」を知る有力な手掛かりとなった。
古墳の復元整備に向けては、出土した埴輪の実物大レプリカを作るイベントを4年にわたって開き、福岡や兵庫、大阪など県内外から延べ95人が参加し、高さ約45㌢の円筒埴輪をはじめ65基のレプリカを制作した。
セレモニーには来賓や復元に携わった関係者ら約70人が出席。先立って埴輪設置式が行われ、制作者らが古墳時代の装束を身に着けて埴輪職人に扮し、自らロープや背負子(しょいこ)を使って、埴輪を竪穴住居から古墳まで運び、調査結果で明らかになった配置図を基に、墳丘上に65基を並べていった。
福岡県から埴輪作りに参加し、セレモニーではみこ役を務めた中村麻衣子さん(39)は、SNSで埴輪の復元イベントを知って応募したという。自他ともに認める考古ファンで、15年に九州国立博物館が考古好きの女子のために発足した「きゅーはく女子考古部」の1期生。「埴輪作りは子ども向けのイベントが多く、作って終わり、というのが一般的。こちらのイベントは大人も参加できるとあって迷わず参加させてもらいました」と中村さん。
埴輪の材料となる粘土の砂の量も当時の配合を再現し、これだけ大きな埴輪を一般の人が制作する復元整備は全国でも例がないという。「自分が作った埴輪を古墳に設置してもらえるなんて、こんなうれしいことはないです。これからも時々埴輪に会うために和歌山に来ます」と笑顔で話した。
復元プロジェクトの発案者で学芸員の萩野谷正宏さん(44)は、地域の史跡は研究者や学芸員のものではなく地域みんなのものだと強調する。「愛着を持ってはじめて次の世代に残すことができるものだと考えています。今回参加してくださった皆さんの熱意に深く感動しました。今後もこのような取り組みを続け、多くの人に参加してもらいたい」と話していた。
自己表現の「書く力」磨く 赤山さんが教室
言葉に親しみ、書くことや表現方法を磨く教室「ことばと居場所カタ・コト」が、和歌山県和歌山市小雑賀に開設されて間もなく1年。主に小学生を対象に、表現することの基本となる「書く力」を育む場所で、主宰する赤山仁美さん(34)は「自分らしさを大切に、自己表現することで『好き』の力を取り戻してほしい」と、日々子どもたちと向き合っている。
小学生の子どもたちが集まったこの日の教室で、みんなが小瓶から次々と取り出したのは、言葉が記されたカード。「いきる」「ととのえる」「ひらめく」「まちまち」「うちょうてん」…。
分からない言葉は辞書で調べ、それらを使って短文づくりに挑戦。その他、文字のない絵本を使い、想像を膨らませてストーリーを作ったり、絵柄付きのサイコロを振って、出た目から自由に物語を考えたり。遊び感覚で語彙(ごい)力や表現力を自然に身に付けていく。完成した文章を発表し合い、みんなで共有。それぞれの自由な発想を大切にし、この教室には「間違った答え」はない。
赤山さんは海南市出身。新潟大学人文学部を卒業後、塾の講師などを経て、小学校の学童保育で子どもたちと関わってきた。その中で重要だと感じたのは、「自分は大切な存在」と思える、子どもたちの自己肯定感を育むこと。それを高めるためにも、自己表現を大切にする必要性を感じたという。
思いを言葉にしたり、物を作ったりするのが好きだった赤山さんは「生きていくということは全てが自己表現。好きなことをして自分を表現することでエネルギーも高まり、前向きに取り組める。そんな力を引き出すサポートがしたい」と、昨年4月に教室を開設した。
「作文が嫌い」「書くのが苦手」という子や、周囲とのコミュニケーションをとるのが苦手な子も多い。教室名「ことばと居場所 カタ・コト」は「片言でもいい、下手でもいいから伝えたいことを表現してみよう」との思いから。作文というと身構えがちだが、多少の漢字の間違いや句読点などは気にせず、例えば、作文が苦手な子には「まずは自分の好きなことについて書いてみよう」とアプローチ。「ここで書くことは、誰にも見せない日記のようなもの」と赤山さんは言う。
型にはまった指導では、子どもたちが自信をなくすことも。教室で文章を書く際は形式にとらわれず、原稿用紙、真っ白な紙のどちらを使っても構わない。4人までの少人数制。意見や答えを周囲に合わせることが優先されないよう配慮し「作文に関しても、極力〝こうだ〟と直さないようにしています。人と違ってもいい。みんながありのまま、自分らしくいられる場所にしたい」と話す。
ほとんど作文を書けなかった子でも、抵抗なく表現できるように。これまで数カ所で企画した読書感想文の講座も好評。その評判が口コミで広がり、今では20人ほどの子どもたちが通っている。教室に通う男児の母親は「子どもの語彙を引き出してくれる。『こんな言葉を持ってたんだ』と驚かされることも多いですね」と変化を喜ぶ。
赤山さんは大学時代に劇団を立ち上げた経験もあり、今後は子どもたちのダンスパーティーを開くという斬新な企画も計画中。
21日には同市紀三井寺の南コミュニティセンターで、小学生とその保護者を対象にした俳句づくりのイベントを開催。午後1時から、3時からの2回。各回定員40人(20組)。参加費は子ども1人につき500円。
問い合わせは赤山さん(℡090・8777・4737)。
3月16日付
まひ性貝毒検出で出荷規制へ 塩津のマガキ
和歌山県は14日、海南市下津町の塩津漁港で採取した養殖マガキから、自主規制値の4倍にあたるまひ性貝毒が検出されたため、和歌山市大川から和歌浦湾までの二枚貝の採捕や出荷の自主規制を依頼した。
県によると、12日に塩津漁港で貝毒分析を行い、14日に自主規制値を超えるまひ性貝毒の検出を確認。和歌山市、海南市の6漁協に自主規制を呼び掛けたという。
貝毒は主に二枚貝が毒素を持った植物プランクトンを食べて体内に毒が蓄積した状態で、食べると重症の場合は体が思うように動かなくなり、死亡に至ることもある。
県は今後、規制海域での貝毒検査を継続して実施するとしている。
新規事業化に妥当の意見 新宮・紀宝熊野道
紀伊半島一周高速道路の一部、近畿自動車道紀勢線の新宮道路と紀宝熊野道路について、国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会の事業評価部会は14日、新規事業化を妥当とする意見を出した。現在参議院で審議中の2019年度予算案の成立後、実施計画で正式に事業化が決定し、半島一周の全区間が事業化されることになる。
新宮道路は新宮インターチェンジ(IC、新宮市あけぼの)―新宮北IC(同市三輪崎)間の4・8㌔で、事業費は約300億円。紀宝熊野道路は熊野IC(三重県熊野市久生屋町)―紀宝IC(同県紀宝町神内)間の15・6㌔で、事業費は約850億円を見込んでいる。
事業評価部会の新規事業化「妥当」との意見を受け、仁坂吉伸知事は「紀伊半島一周高速道路の早期実現は、県にとって、企業立地や産業振興、活力ある地域づくりといった将来のチャンスを保障するものとして、また南海トラフ巨大地震などの大規模災害への備えとして、不可欠かつ急務」との認識から、「心から感謝している。すでに事業着手されている区間も含めて、沿線の自治体と連携し、円滑な事業推進に協力していく」とコメントしている。
医療人として門出の日 県立医大で卒業式
和歌山県立医科大学(和歌山市紀三井寺、宮下和久学長)は15日、各学部、大学院の卒業式・修了式を行い、217人が医療人として新たな門出を迎えた。
卒業生・修了生の内訳は、医学部98人、保健看護学部81人、助産学専攻科9人、大学院医学研究科修士課程8人、同博士課程4人、大学院保健看護学研究科博士前期課程15人、同後期課程2人。
式典には来賓や家族が出席し、卒業生らを祝福。宮下学長は「医学・医療の道は果てしなく長く、生涯が学びの道。和歌山のことを思い、医療の発展に貢献してほしい」と式辞。卒業生を代表して医学部の渡部博明さん(24)は「本学の卒業生であるという誇りを胸に、豊かな人間性を培い、多くの人の力となれるよう努力を重ねていく」と答辞を述べた。
表彰を受けた卒業生は次の皆さん。
〔知事表彰〕川部直子(医学部)▽松藤智香(保健看護学部)〔学長表彰〕北内真理子(医学部)▽中谷晏菜(保健看護学部)
アロチの街を美しく 活性化委が清掃活動
和歌山市の歓楽街「アロチ」を盛り上げようと、飲食業に携わる18店舗の有志が集まり「和歌山市料理飲食業組合」のアロチ支部・アロチ活性化委員会を立ち上げた。
第1回目の活動として、歓楽街特有の「暗い」「汚い」といったイメージを払拭(ふっしょく)し、「明るく美しい街にし、県内外からお客さんを迎えよう」と、地域の清掃活動を企画。11日にはメンバー16人が集まり、大通り沿いの溝や、茂みに隠れた部分などを重点的に、約1時間にわたってたばこの吸殻やペットボトル、空き缶や壊れた傘などを回収。「暗い夜だと分からんな」「ごみが多すぎて拾っても拾ってもなくならん」などと話し、協力しながら丁寧に拾い集めていた。
清掃は、今後も毎月第1月曜日に実施。地域の課題や活性化に向けたアイデアを共有し、いずれはイルミネーション点灯や祭りの開催、周辺を歩行者天国にしたイベントなども企画したいという。
メンバーの一人、西廣真治さんは「横のつながりも生まれる。目が届きにくい場所にも、たくさんのごみが捨てられていることに気づきます。意識改革をし、私たちの中身も磨いていきたいですね」と話し、支部の代表を務める縣(あがた)克伸さんは「実際に活動することで、新たなまちの課題も見えてくる。人が集まればいろんな発想も生まれ、一つひとつ具体化しながら、まちを盛り上げていければ」と話していた。
市高は開幕戦で呉、智弁は熊本西 センバツ
23日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第91回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が15日、大阪市北区の毎日新聞社オーバルホールであり、3年ぶり6回目出場の市立和歌山は初日の第1試合で市立呉(広島)と、2年連続13回目出場の智弁和歌山は1回戦の最後、大会6日目の28日第1試合に21世紀枠で初出場の熊本西(熊本)と対戦することが決まった。大会には32校が出場し、12日間にわたり熱戦を繰り広げる。
15日午前9時から始まった抽選会には出場32校の監督、主将が集まり、関東地区の出場校から抽選に臨んだ。市和歌山の米田航輝主将は9番目、智弁和歌山の黒川史陽主将は11番目にくじを引いた。
開会式直後の開幕試合を引き当てた米田主将は「試合までの準備期間が短く、自分たちのペースで試合をするのが難しい。やってしまったと思った」と複雑な心境を口にしながらも、「大勢のお客さんを味方につけ、接戦に持ち込んで勝ちたい。投手陣は完成度が上がってきた。試合までに打撃の調子を上げたい」と前を向いた。
半田真一監督は「若干開幕戦を引きそうな気がしていた。素晴らしい。光栄なことだ」と前向きに捉え、「チームの仕上がりは順調でけが人もいない。相手は機動力を使ったすごく緻密な野球をする印象がある。こちらもさらに調子を上げていく」と話した。
呉は2年ぶり2回目の出場。県内の公立校を3度甲子園に導いた中村信彦監督が2007年に就任して以降力をつけ、初出場の選抜では開幕戦で至学館(愛知)を下し初戦を突破した。主戦の沼田仁投手は球速こそ130㌔前後だが、3種類のスライダーを含む多彩な変化球を制球良く投げ込み、けん制やバント処理の技術も高い好投手。打線は長打は少ないが盗塁や犠打を得意とし、昨秋の中国大会では4強入りした。
中村監督は「沼田には3、4点までに抑えてほしい」と話し、上垣内俊早主将は「市和歌山は自分たちと似たカラーのチームだと思う。先制し、守り勝つ野球をしたい」と話した。
智弁和歌山は、昨秋の熊本大会で準優勝し、初出場の九州大会では8強入りした熊本西と顔を合わせる。中谷仁監督は6日目の登場となることについて「投手は少し調整が難しいかもしれないが前向きに捉えたい」と話し、「知らない相手なのでよく情報を集め、まずは初戦突破を目指す。選手が力を発揮できるようにサポートしたい」と決意。黒川主将は「早い日程の方が良いとは思っていたが、その日にしっかり調子を合わせたい。打線はここにきてミスショットが減ってきた。さらに調子を上げて臨みたい」と力を込めた。
熊本西はエースで主将の霜上幸太郎投手が大黒柱。昨秋はほとんどの試合を完投するなど投打でチームを引っ張った。攻撃では出場校中2位の打率5割2分6厘を記録した末永駿に注目。横手文彦監督は「対戦が決まった時は『やべぇ』と思った。智弁は強打だけでなく、捕手や投手も良い。チャレンジャー精神で泥臭くプレーしてほしい」と選手に期待し、霜上主将は「こんな強豪と試合ができるのは楽しみ。取れるアウトを確実に取り、チャンスを生かして勝ちたい」と意気込みを話した。
スピノサウルス化石発見 白亜紀の魚食恐竜
魚食性の大型恐竜、スピノサウルス類の歯の化石が湯浅町の地層で見つかった。和歌山県立自然博物館(海南市船尾、高須英樹館長)が14日に発表し、西日本では初、国内では群馬県の2例に次ぐ3例目の発見。年代は中生代白亜紀前期(約1億3000万年前)で、アジアで見つかった同類の化石では最古級という。
スピノサウルス類は、獣脚類スピノサウルス科に属する恐竜の総称。恐竜では珍しく水中で泳ぐことが得意で、主に魚を食べていたと考えられている。大きい個体は体長15㍍に達し、背中に帆があるなどユニークな特徴から恐竜ファンに人気が高く、映画「ジュラシックパーク」シリーズに登場したことでも知られ、これまでにアフリカや東南アジアで化石が発見されている。
発見者は、東大阪市在住の会社員で、化石採集を趣味に著書も出版している宇都宮聡さん(49)。昨年10月21日、ミカンを買おうと湯浅町を訪れた際、立ち寄った海岸に転がっていた石を軽く蹴ったところ、石が割れた面に目が留まった。恐竜の特徴を熟知する宇都宮さんは、「スピノだ!」と大発見を直感し、興奮したという。化石は同館に寄贈され、東京都市大学の中島保寿准教授に観察と分析を依頼し、スピノサウルス類の歯と同定された。
見つかった歯の化石は先端部分の14㍉。不完全ながら円すい形で、表面に縦方向の何本もの条線が確認され、線と線の間にはしわ状の隆起が見られ歯のエナメル質が厚いなどの特徴が分かった。歯の大きさから、個体のサイズは3~5㍍ほどと推定され、大型恐竜のスピノサウルス類の中では小型とみられる。
発見された地層は、日本最大の断層である中央構造線の南側の西南日本外帯にあたり、群馬県の2例の化石も同外帯で見つかっている。中央構造線の北側、西南日本内帯にあたる福井県や兵庫県では多くの恐竜の化石が発見されているにもかかわらず、スピノサウルス類の化石の報告はない。白亜紀前期には内帯と外帯で生息していた恐竜が異なっていた可能性が考えられており、今回の発見はその仮説を裏付ける証拠の一つとしても重要とされる。
14日に同館で記者会見が開かれ、宇都宮さんは「小さな歯の化石だが、地球史的に大切な意味合いが含まれている」と話し、最古級の化石と推測されることから「スピノサウルス類の進化を考える上でも興味深い」と今後の研究に大きな期待を寄せた。
同館主査学芸員の小原正顕さんは、今回の発見が2007年に肉食恐竜の歯が見つかったのと同じ場所であることを紹介し、「大変うれしい。化石採集イベントで一般の人にも協力してもらい、さらなる発見を重ねて研究の情報量を増やしていきたい」と話していた。
歯の化石は修復すれば全長3㌢弱ほどになる見通しで、今夏にも同館で展示する予定。
3月17日付
オークワを「くるみん」認定 子育て環境整備
子育てしやすい職場環境づくりに取り組む「子育てサポート(くるみん認定)企業」に㈱オークワ(本社=和歌山県和歌山市中島、神吉康成社長)が認定され、15日に黒田の和歌山労働局で認定通知書の交付式が行われた。
「次世代育成支援対策推進法」に基づく認定制度で、女性の育休取得率75%以上や、月平均60時間以上の法定時間外労働の労働者がいないことなどが基準となる。県内では16社目の認定企業となった。
オークワは2014年~18年の行動計画において、女性の育休取得率が106%、年2回の5連続休暇は18年度上半期に950人、下半期854人が取得。子どもが小学3年生まで短時間勤務、時間外労働の免除制度の運用といった支援も評価された。
松淵厚樹局長は「5連休の取得など取り組みの実績は素晴らしい。県内企業のリーディングカンパニーとして引っ張ってもらいたい」と取り組みをたたえた。神吉社長は「お客さま第一主義と従業員の満足度向上のためにも、認定いただけるのは名誉なこと。企業を取り巻く環境は変わり、変化に合わせていくのが使命なのかもしれない。これからも一層努力していきたい」と話した。
人材育成や産業発展 県と東大先端研が協定
和歌山県と国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター(神崎亮平所長)は15日、学術振興や人材育成、産業発展などを目的とした包括連携協定を締結した。
同センターは、研究者や研究分野の多様性が最大の特色で、約40の研究室がある。理工系の先端研究から社会科学、バリアフリーの研究の他、アートやデザイン分野なども推進している。
協定では県内企業との共同による太陽光発電の材料開発といった産業イノベーション創出支援や、プログラミング教育の充実などを図る教育開発、人材育成、地域の特性を生かしたまちづくりなどで連携する。
締結式は県庁知事室であり、仁坂吉伸知事と神崎所長が協定書にサイン。仁坂知事は「あらゆる分野に精通している先生方に助けてもらえたら、きっといいものが生まれる」とあいさつし、高野口町出身の神崎所長は「多様な人が活躍できる場を提供し、地域の活性化や県民、社会のために貢献していきたい」と述べた。
将来の夢や目標語る 亀川中で「立志式」
海南市立亀川中学校(熊代秀至校長)は15日、2年生が4月から最上級生となるのを前に立志式を行った。生徒61人(男子32人、女子29人)は自身を振り返って決めた目標を、漢字一文字を示しながら発表。目標達成に向けての努力を誓った。
立志式は、奈良から江戸時代にかけて行われていた現在の成人式にあたる「元服」に倣い、15歳になる中学2年生に大人としての自覚をもち、志を立ててほしいと願って行い今回で7回目。
熊代校長(56)は式の意義について「これからの長い人生の生きる目的を定め、成し遂げることを誓うこと」と強調。「“中だるみの学年”ともいわれる中学2年を、立志の緊張感で引き締めて過ごしてほしい」と呼び掛けた。
生徒らは壇上に上がり「勝」や「竹」「大」など、自身の欠点と感じていることを改めたいとの願いを託したり、努力目標を表したりした漢字一文字を紹介。「改」を示した南出嵐君は「自分に甘くなっていた気持ちを改めたいです」、「夢」を示した石橋朋果さんは「夢を持って生きる方が自分をより高めることができると思います」などと話した。
この日は地元で活躍する経営者の講演もあり、同市JR駅前で、約40年以上にわたりハンバーガー店を営む上野知美さんが「ごちそうさまに支えられて」をテーマに話した。上野さんは、1978年ごろから昨今までの、まちのにぎわいの移り変わりや、“海南の顔”として明るい接客に努めてきたことなどを話し「故郷の風景を忘れないで。もし、悩んだときは話を聞かせてください」と呼び掛けた。
生徒らは、合唱曲「若い翼は」を歌い、それぞれの誓いを胸に歌詞の「強く羽ばたく」に思いをのせハーモニーを響かせていた。
オイルダンパー交換へ KYBデータ改ざんで
昨年10月、油圧機器メーカーKYB㈱と子会社による免震・制振装置の検査データ改ざんが発覚した問題で、和歌山県は、南別館に設置されている免震オイルダンパー4本を適合品に交換する。適合品の確証が得られなかったためで、早期の交換を求めている。
管財課によると、同社が行っていた「係数書き換え」問題で、南別館に設置のオイルダンパーは「4本全てが適合品」との回答があったという。だが、同社の調査で別の不適切行為(原点調整)が発覚。同社が設置した外部調査委員会の調査報告書で、原点調整が2008年または09年ごろに開始された可能性が高いと報告された。
南別館のオイルダンパーは06年の製造品。不適切行為が始まる前に製造されたもので、委員会では不適切行為が行われた製品との確認はされていなかった。
しかし、同社が14年以前に使用していた検査機内に原点調整に関するデジタルデータは保存されておらず、不適切行為の有無については確認できなかった。適合品である確証がないため、同社の同年以前に検査した製品は全て適合品と交換するという方針に沿って、早期の交換を求めた。
取り替え用ダンパーの生産は来年9月までに完了予定という。
期待乗せ出発進行! JR和歌山線に新車両
JR和歌山線に16日から導入された新型車両227系の出発式が同日、JR和歌山駅で行われ、沿線高校の生徒や鉄道ファンら大勢の人が発車する車両を見送った。
同線への新型車両の導入は1989年以来30年ぶり。車内でICカードのイコカが使える車載型IC改札機や多言語での案内放送などが導入され、走行時の揺れも少なくなっている。ことしの秋までに全ての車両が新型となる予定でIC改札機は20年春から利用可能となる。
出発式には鉄道ファンらが詰め掛け、午前10時20分発の粉河行きが7番ホームに姿を現わすと、ホームのあちこちにカメラのシャッター音が響いた。
元体操日本代表選手で和歌山県岩出市出身の田中理恵さんが駅員姿で登場。「出発式に立ち会えてうれしい。こんなに快適な車両なら長い乗車時間も楽しく有意義なものになるのでは。車で移動する人が増えていると聞くが、新型車両は地域活性化につながると思う」と期待し、JR西日本和歌山支社の伊藤義彦支社長は「地域の皆さまからの大きな期待を感じている。多くの方にご利用いただけるよう利便性に優れた路線にしたい」と決意を示した。
田中さんや仁坂吉伸知事らによるテープカットの後、同駅の小島弘義駅長と田中さんが右手で出発進行の合図。県立那賀高校吹奏楽部による演奏の中、新型車両が発車し、大きな歓声が上がった。
大阪府松原市から訪れた中学2年の吉住迅翔君は「これまでの車両は揺れが大きく長い時間乗ると疲れたので新型車両に期待しています。近くで見てデザインがかっこいいと思いました」と話していた.