和歌山県和歌山市加太の淡嶋神社(前田智子宮司)の伝統行事「雛(ひな)流し」が3月3日に行われる。昨年9月4日の台風21号により、神社から雛人形を海に流す桟橋までの市道加太47号線の路面と堤防が損壊し、通行止めとなっていることから、安全を確保するため警備を強化し、ことしは厳しい警戒態勢での桃の節句になりそうだ。
雛祭りは元々は同神社の祭りといわれ、祭神・少彦名命(すくなひこなのみこと)にちなんで「少彦名命祭」とも呼ばれる祭事。全国的に有名な雛流しには平日で約5000人、休日にはさらに2倍近くの参拝者が訪れている。本殿で雛納式を終えた後、舟に乗せた雛人形を参拝者が担いで桟橋まで運び、舟を海へと流す際には、堤防に沿って毎年多くのカメラマンらが並び、海に浮かぶ舟を撮影している。
市道は台風21号の高波により崩壊。路面はポールを残して割れ、崩れた堤防は海に浸かった状態となっている。損壊の範囲は約120㍍にわたり、現在も緊急車両などを除き通行止めになっている。
市によると、市道の復旧は雛流しが終わった後、3月中旬までに着工し、工期は9月中旬までを予定している。
過去の雛流しにおいても、波の影響で急きょ舟を流す場所を変更したことがあった。ことしも場所を変更して北の浜から流すことや中止も検討したが、日曜日の開催とあり来場者が例年よりも大きく増えること、神社から北の浜までは1・2㌔と担いで歩くには距離が長いことなどから、例年通りの場所での実施を決めた。
当日は警備を強化し、バリケードも設置する予定。天気は雨と予想されているため、路面の状況も踏まえて対応するとしている。