和歌山市関戸の矢宮神社(矢田部弘州宮司)で13日、地域の安全や五穀豊穣を願う秋の例大祭が行われ、地域住民らが神輿(みこし)を担いで境内や神社周辺を練り歩き、アマチュア落語グループ「坐・噺の会」(助野利治代表)が講談を披露した。
神事が行われ、矢田部宮司は災害なく無事に過ごせるよう祈りを込めた祝詞を神前に奏上した。
矢宮神社は戦国時代の鉄砲集団・雑賀衆にゆかりがあり、この日の講談では、同神社の歴史を題材に「坐・噺の会」の関大亭忍狂こと助野代表が台本を書いたオリジナル作品「矢宮と孫市」を、ひさご亭江香さんが披露。紀の川下流で勢力を誇っていた雑賀衆を織田信長が大軍を率いて攻めた際、雑賀孫市率いる軍は矢宮の神のお告げに従って和歌川で織田軍を迎え撃ち、見事に敵を退けて勝利を収めた合戦の様子などが語られた。
その後、地域の子どもや近隣の県立星林高校の野球部員らが神輿を担ぎ、笛や太鼓の音に先導されて「わっしょい、わっしょい」と元気な声を響かせた。
神輿を担いだ同校野球部1年の西川栞太君(15)は「皆で一つのことをするのは楽しい。地域の方にはいつも支えてもらっているので、こういう時に自分たちができることをしたい」と話し、雑賀小学校4年の元村勇太君(10)は「重かったけど、神輿を担ぐのは楽しかった」と笑顔だった。