難聴者に聞き取りやすい音を出すスピーカーとワイヤレスマイクのセット「comuoon(コミューン)」が、和歌山市砂山南の県立和歌山ろう学校(島田健司校長)に導入された。同市出身の作詞家、及川眠子さん(55)が橋渡しをし、NPO法人日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会(中石真一路理事長)が寄贈した。
同協会の「きこえのあしながさんプロジェクト」の一環で、ユニバーサル・サウンドデザイン㈱と協力して全国の小中学校など難聴の生徒が学ぶ学校を対象にコミューンを寄贈し、教育環境のユニバーサルデザインを推進している。和歌山ろう学校が15校目の寄贈となった。
及川さんは、Wink「愛が止まらない」、やしきたかじん「東京」、新世紀エヴァンゲリオン主題歌「残酷な天使のテーゼ」など数々のヒット曲を手掛けた人気作詞家。難聴の人も音楽を聴き、楽しむことができる可能性を広げる同協会の取り組みに賛同し、9月から同プロジェクトの親善大使を務めている。
寄贈されたコミューンは、補聴器のように音を受け取る側の聞こえを改善するのではなく、話す側が聞こえやすい音を出す仕組みにより、難聴者とのコミュニケーションをサポートするシステムとなっている。
7日に同校で行われた寄贈式には及川さんや中石理事長が訪れ、同校高等部3年で生徒会長の松村夕姫奈さん(17)にコミューンを贈呈。島田校長は「コミューンは生徒を新しい音の世界に連れて行ってくれる。寄贈していただきありがたい」と感謝した。
松村さんは「マイクを通してコミューンから出る音声はとても聞きやすく、音がすっきり聞こえるような感じがあった」と感想を話し、「私たちのためにこのような素晴らしい機器を寄贈していただき、ありがとうございました」とお礼の言葉を述べた。
及川さんは「音楽というものを、どうやっていろいろな人に伝えられるか考えてきました。今回のスピーカーがあることで、音と一緒になった言葉を皆さんに届けられることをうれしく思います」と笑顔で話した。
同校では今後、コミューンを授業などで活用していくとしている。