天皇、皇后両陛下は県内入りされた25日午後、田辺市の県立情報交流センターBig・U(ビッグユー)を訪れ、平成23年の紀伊半島大水害で家族を失った6人の被災者と懇談し、激励された。
紀伊半島大水害は、同年の台風12号の影響で8月30日から9月4日にかけて県南部を中心に激しい雨が続き、土砂崩れや河川の氾濫により、県内では死者56人に及ぶ甚大な被害となり、現在も5人が行方不明のままとなっている。
両陛下は、懇談会で6人の被災者一人ひとりに声を掛け、「お寂しくいらしたでしょう。本当に大変でしたね」「悲しみがお体にふれることはありませんでしたか」などといたわられた。
また、天皇陛下は出席した被災者全員に「大変なこととは思いますが、お元気で過ごされることを切に願っています」と言葉を送られた。
消防団員だった夫を亡くした新宮市の中村多加子さん(66)は「心配してくださって本当にありがたかった。お会いできてうれしい」と話し、今月20日に初孫が誕生したことを皇后さまに伝えると「『おばあちゃんになられたのね。きっとご主人さまが見守っていてくれましたよ』と言葉を掛けてくださいました」と笑みを浮かべた。
両陛下は27日まで県内に滞在され、26日は国体総合開会式への出席の他、広川町の稲むらの火の館を視察される。27日はみなべ町の県果樹試験場うめ研究所を視察し、白浜町で行われる国体卓球競技を観覧される。その後、南紀白浜空港から特別機で帰京される。