弘法大師・空海や高野山にまつわる文化財を一堂に紹介する高野山開創1200年記念特別展「弘法大師と高野参詣」が19日、県立博物館(和歌山市吹上)で始まる。人々が弘法大師や高野山に寄せた思いや参詣の歴史を通じ、あらためて高野山の魅力を再発見できる展示になっている。11月1日まで。
像や軸、巻物やびょうぶなどの国宝や重要文化財を含む216件を展示する。
見どころの一つは、もとは高野山にあったが、現在は県内外に移動している数々の文化財の“里帰り”展示。石川県法住寺の不動明王坐像は、かつて丹生都比売(にうつひめ)神社の護摩堂にあったもので、県内初公開となる。
また、岩出市の遍照寺に残る重要文化財の弘法大師坐像は約15年ぶりの公開。銘文から永仁2年(1294)の作と分かり、制作年が記された弘法大師坐像の中では全国で2番目に古いという。
18日には関係者を招いての開会式と内覧会があり、高野山霊宝館の静慈圓館長や来賓、高野山小学校と交流する和歌山大学付属小学校4年生の児童らが参加。仁坂吉伸知事は「知れば知るほど素晴らしい高野山を、全世界に発信していきたい」とあいさつ。同館の坂本亮太学芸員が展示を解説しながら案内した。
和大付属小の瀧川京子さん、直川明日菜さんは「高野山は歴史があってすごい。古い資料が今まで残ってるのがびっくり」「弘法大師の像は本物みたいで迫力があった」と話していた。
前期(~10月12日)と後期(10月14日~11月1日)で展示替え。記念講演会や展示解説もある。会期中の常設展示はなし。問い合わせは同館(℡073・436・8670)。