和歌山市出身の脚本家で演出家の平松豊司さん(51)が手掛けた朗読劇「沙也可の見た空」の特別公演がこのほど、同市楠本の養護盲老人ホーム喜望園で開かれた。平松さんの母校・川永小学校の6年生約80人が招かれ、子どもたちは声だけで演じられる迫力の劇を鑑賞した。
平松さんは、4年前から毎年同校で芝居や脚本のワークショップを開催している。今回の上演作は「雑賀衆・沙也可で街おこしの会」の辻健会長が記した沙也可の小冊子を基に、平松さんがセミフィクションに仕上げたもの。昨年和歌山で初演され、東京でも上演。好評により、ことしも2カ所でアンコール公演が実現した。
新たなキャストを迎え、4人の俳優陣が出演。平松さんもパーカッションとギターで参加した。
豊臣軍が朝鮮に侵攻した文禄の役の際、秀吉に反旗を翻し朝鮮軍と共に戦った、雑賀衆ゆかりの沙也可の姿を描いた物語で、沙也可と朝鮮の人々との温かい交流や、迫力のある戦の様子が臨場感たっぷりに再現された。
向井颯(はやて)君(11)は「朗読劇は初めてだったけど、声がすごく良くて自分にはできないからすごいと思った」と笑顔。平松さんは「子どもたちの中には今後、ふるさとを離れる子もいるかもしれませんが、生まれ故郷のいいところを心の片隅に置いてもらえれば。将来、この芝居を見た子どもたちと舞台の現場で再会する日が来ればうれしいですね」と話していた。