SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの呼び掛けで集まった人々が商店を訪れ、団体で買い物を楽しむ「キャッシュモブ」が26日、和歌山市のぶらくり丁商店街で開かれた。全国でもほとんど例のない県内初の試みで、地元の店を多くの人が知り、地域活性化につながることが期待される。
申し合わせた人々が公共の場に集まり、突然、演奏やダンスなどのパフォーマンスを行う「フラッシュモブ」の買い物版。アメリカで地域の商店街を活性化するために生まれた新しい市民参加型のプロジェクトで、集合時間と場所とドレスコード(服装のルール)を決めて集まり、皆で店を訪れて品物を購入していくというサプライズな内容が特長だ。
県内の30代の経営者らを中心とするグループ「Team3℃(チームサンドシー)」が企画。6月30日に約20人で予行練習を行い、参加者やぶらくり丁の商店主から喜びと驚きの反響があり、初の開催が実現した。
今回はフェイスブックなどの呼び掛けで集まった親子連れら約70人が参加。茶屋、書店、おもちゃ屋、和菓子店の4店を順に訪れ、参加者は各店の商品をじっくりと品定め。店内は突然の盛況に活気づき、レジの前には参加者が列を作り、店主らと会話も交わしながら買い物を楽しんでいた。
実行委員長でPETERSOX代表の岡崎大輔さん(34)は「まず、参加者がまちなかで買い物することを楽しいと思ってもらうことが目的」と話す。「和歌山に楽しい店があることをまだ知らない人が多い」ことから、キャッシュモブの様子を動画サイトやフェイスブックなどで発信し、この新しい楽しみを味わってみたいと思う人を増やしていく。「参加者が個別に『モブろうぜ!』と呼び掛けてやってもらえればうれしいですね」と力を込める。
来店を受けた帯伊書店の市健次社長(63)は「商店街としてもありがたい取り組み。特に子ども連れでまちなかを歩いてもらえると、これからのリピーターにつながる。今後もやってもらいたい」と期待を寄せる。
参加した海南市の会社員、木加奈子さん(26)は「目的地まで車で行ってしまうことが多く、商店街を歩くことはなかった。知らない店のことが分かって面白い。休日にまた来たいと思った」と話していた。
次回のキャッシュモブは9月に開催予定。詳しい情報はフェイスブック(https://www.facebook.com/events/100876016926201/)で。