第97回全国高校野球選手権和歌山大会は大会15日目の26日、和歌山市毛見の県営紀三井寺球場で決勝があり、智弁が和歌山商を接戦の末に2―0で下し、3年ぶり21回目となる優勝を飾った。先発の齋藤は3安打完封の快投を演じ、昨年決勝で敗れた雪辱を果たすとともに、チームを甲子園へと導いた。
決勝
和歌山商 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
智弁 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | X | 2 |
〔和〕吉中―山口〔智〕齋藤―西山▽3塁打=春野(智)▽2塁打=山本(智)
エースが圧巻の投球をみせた。智弁の左腕・齋藤は2回に得点圏の危機を切り抜けると、キレのある直球と変化球をコースに投げ分け、安定感を示した。最終回に連打を許したが、最後の打者を内野ゴロに仕留め、完封した。
打線は4回に無死1、3塁と攻め、垣のスクイズで手堅く先制。終盤の8回には山本の適時2塁打で貴重な追加点を奪い、好投するエースを援護した。
高嶋仁監督 苦しい試合だった。38校の選手たちの思いを胸に、甲子園でも勝ち進みたい。
西山統麻主将 メンタル、バッティング、守備、全てで成長できた。甲子園では、1つずつ勝ち上がっていきたい。
齋藤祐太投手 甲子園に行けたので120点。和歌山大会のようなピッチングを継続し、全国制覇したい。
仁坂吉伸知事 和歌山大会を勝ち抜き、見事に晴れの甲子園出場を決めた智弁学園和歌山高等学校の選手、関係者の皆さん、本当におめでとうございます。甲子園では、日々の練習で培われた力と技、チームワークを発揮し、県代表として自信を持って試合に臨んでください。
「連れて行く」攻めの投球 和歌山商3年生 吉中勇人投手
準決勝までに登板した試合で自責点「0」の投球を成し遂げ、チームを決勝に導いた立役者、吉中勇人君。強力打線の智弁を8回5安打に抑える好投を見せた。
3回までに5三振を奪うが、4回に先頭の西山統麻君に四球を与えると、1、3塁の危機を招き、吉垣鋭次君の初球スクイズで先制点を許した。「四球を出してしまった自分のせいだ。初球からスクイズがくるとは思わなかった」と悔いが残る。
「自分の出せる球を出し切ろう」と挑んだ智弁戦。先制点を取られるも「逃げずに思い切り攻める自分の野球」を心掛け、最後まで投げ切った。「甲子園に行くことしか考えていなかった。監督やベンチに入った3年を甲子園に連れて行きたかった」と胸の内を話す。
大会開幕前、マネジャーは選手一人ひとりに、それぞれの背番号を入れたユニホーム型のお守りを手作り。選手はお守りを携え、試合に臨んだ。試合終了後、智弁の齋藤祐太君に駆け寄った吉中君は、エースナンバー「1」のお守りを手渡し、「甲子園で頑張って来て」と声を掛け、夢を託した。