紀の川市貴志川町北の「Will接骨院」の南出耕作院長(30)は、レーシングドライバー中嶋一貴選手のトレーナーとして活躍している。8月には、中嶋選手の弟・大祐選手が出場する耐久レース「スーパーGT鈴鹿1000㌔」に同行する予定だ。
南出さんは海南市出身。F1ドライバーに憧れを抱くようになり、11歳の時に鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS―K)に入校。地元の小学校に通いながら、毎週末は練習のため鈴鹿まで足を運んだ。スクールの同期に中嶋一貴選手がおり、共に切磋琢磨した仲だ。
スクールを卒業後、地元で進学し中学・高校に通いながら奈良県のレーシングカートチーム「トレンタ・クワトロ」に入所。チームで約6年間腕を磨く中、17歳の頃に、未成年でも普通自動車免許の必要な四輪レースカテゴリーに参戦できる「限定A級ライセンス」制度が導入され、初年度に小林可夢偉選手を含む将来を有望視される未成年ドライバー4人のみにライセンスが発行された。南出さんはその一人として、ライセンスを取得した経歴を持つ。
その後、オーディションスクール「フォーミュラトヨタ・レーシングスクール」(FTRS)やオーディションレース「無限フォーミュラチャレンジ」に参戦したが、合格通知は届かなかった。
夢を諦めていた時、知人の紹介で柔道整復師の専門学校に19歳で入学。「トレーナーとしてドライバーをサポートできれば」と思うようになった。平成20年7月、中嶋選手が所属する「ウィリアムズ・トヨタ」のレース活動をサポートするため渡欧。拠点をイギリスに移し、中嶋選手のプライベートトレーナーとして活躍を支えた。
帰国後、平成22年9月に同接骨院を開院。高齢者の腰、肩などの施術だけでなく、元レーシングドライバーの経験やドライバートレーナーとしての経験を生かした、交通事故の患者の施術を得意とする。昨年の「スーパーGT鈴鹿1000㌔」では、中嶋選手、ジェームス・ロシター組をサポートし、同組の優勝に貢献している。
耐久レースでの施術は、ドライバーの状態を把握する洞察力が必要となる。2人のドライバーが交互に走行し、合間の20~30分の間にマッサージやテーピングなどの施術を行う。レース中は、時間がない環境でドライバーに必要な施術が求められ、技術はもちろん経験が不可欠だ。南出さんは「何があっても、常にベストコンディションでドライバーをコースに送り出せるように頑張りたい」と、全力サポートを誓っている。