高齢者が徘徊(はいかい)した際に早期発見、保護につなげるため、海南市は今月から、徘徊の心配がある認知症高齢者をもつ家族に、番号で徘徊者の情報が特定できる「徘徊高齢者見守り・安心ステッカー」を配布している。反射板になっており、履物のかかととつま先部分に貼り付けて使う。市が番号を付与してステッカーを配布する高齢者見守りの取り組みは県内で初めて。
市高齢介護課によると、市は平成21年度から昨年度まで、徘徊の恐れのある高齢者に対して、位置情報が分かるGPS(全地球測位システム)機器を配布する事業を行っていたが、徘徊者が機器を持ち出さなかったり、充電が切れてしまっていたりするなどの課題があり、より効果的な対策を検討してきた。
今回の取り組みでは、徘徊者にとってより身近なものとして「履物」に着目。行政や民間企業らが協力して徘徊者の見守り支援を行っている「市見守り・安心ネットワーク」に登録している認知症高齢者の情報を番号にし、ステッカーに記載した。
徘徊が発生した場合、同ネットワーク関係者に番号が伝えられ、徘徊者の顔を知らなくても、番号を目印に捜索ができるようになる他、徘徊者を保護した場合に番号から身元を特定できる。
現在、同ネットワークに登録されている高齢者は33人。今月中にはサンダル、ブーツなど季節に合った履物に貼れるよう5足分のステッカーを登録者の家族に配布する予定。
同課高齢者係の平田泰代係長(46)は「徘徊者の早期発見につなげ、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指したい」と話していた。