近い将来発生するとされる南海トラフ巨大地震に備えて連携を図ろうと、日本赤十字社の和歌山をはじめ滋賀や京都、大阪、兵庫、奈良の各県支部でつくる第4ブロックは13日、和歌山市和歌浦南の片男波公園周辺で合同訓練を行った。
ことしで21回目で、県内での開催は平成19年以来、8年ぶり4回目。各府県支部の医師や看護師、和歌山県警、和歌山市消防局、ボランティアら約600人が参加し、災害救護体制の充実と強化に努めた。
12日午前5時半に紀伊半島沖を震源とするマグニチュード9・1、震度7の地震が発生し、大規模な津波で県内沿岸部に甚大な被害が発生したという想定で行われた。
災害対策本部では無線などで情報交換しながら、県内外から集まった救護チームと連携。海南、白浜、新宮3カ所の模擬避難所に救護班を派遣し、傷病者の救護活動を行った。
今回、災害訓練では初めて、薬剤コーディネートの訓練を実施。薬剤師が傷病者の状況に応じて必要な医薬品の量などを確認し、各救護所に配分していた。
また効率的な救護を図るため、全国的には訓練で実施例の少ない、EMIS(イーミス、広域災害救急医療情報システム)を導入。インターネット回線を使い、どういった救護班がどこにいるか、どのような傷病者が救護所に何人いるかなどの詳細をパソコンに入力し、情報共有に努めた。
救護所では妊婦や高齢者らが次から次へと搬送されてくるという本番さながらの緊迫感の中、職員らは「痛いところはありますか」などと声を掛けながら各部門と連携し、傷病者の処置に当たっていた。
この他、被災者のこころのケアやボランティアの受け入れ、県警ヘリコプターによる傷病者の緊急搬送、薬の搬送なども行われた。
訓練を終え、和歌山県支部の医療社会事業部長・中大輔医師(50)は「EMISの導入で救護所の状況も把握でき、薬剤部門も十分に機能できた。ただ、現場から救護所への搬送で連絡がうまくいかない場面もあり、今後も頻回に警察や消防など他機関と訓練を重ねて連携を密にし、体制の強化を図っていきたい」と話していた。