紀の川市でことし2月に発生した小学生男児殺害事件を受け、子どもが関係する凶悪事件の再発防止に向け、県は6月議会に「県安全・安心まちづくり条例」の一部改正案を提出し、県民に危険な兆候の情報提供を呼び掛けることを明文化するなどの対応策をまとめた。
同事件では、発生前から容疑者の男に「刃物や木刀を振り回していた」などの特異な行動が見られていたが、そうした「危険な兆候」の情報が地域から外に出ず、行政や警察で対応できなかった。
対策として、同条例改正案の「県民の役割」に「県民の安全で安心な暮らしを害するおそれのある事態の発生に関する情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努める」との条文を追加。県民生活課や各振興局の総務県民課、警察など行政の相談窓口の連携体制を強化し、寄せられた情報に対応する。住民に対する情報提供の呼び掛けを条例で明文化するのは全国初という。
さらに、犯行に使われたとみられる「ククリナイフ」などの危険な刃物の所持を規制するため、政府に銃刀法での全国的な統一規制を要望していく他、青少年への所持規制を行うため、県青少年健全育成条例の一部改正案を9月議会に提案する。
その他、道徳教育の充実・強化に向け、新たに「人を思いやる温かい心」を育む教材を追加し、10月中に県内の全小中学校、特別支援学校に配布する。
また、子どもの「SOS」サインを拾い上げることができるよう、「安全・安心サポートマニュアル」を作り、8月中に県内の全小中高校、特別支援学校に配布する。