海や船舶を題材にした作品を数多く手掛けている和歌山市の水彩画家・志磨隆さん(72)は、米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備され、近く本国に帰還する予定の同海軍第7艦隊の原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)に、同艦を描いた水彩画を寄贈した。
志磨さんは10年以上前から、海上自衛隊や陸上自衛隊、海上保安庁などに数十点の絵の寄贈を続けている。今回の作品はGWと自衛隊の共同訓練をモチーフにした水彩画(100㌢×75㌢)。水彩画としては大きなサイズで、波しぶきの中、海上を進むGWを上空からの構図で描いている。さまざまな写真を参考に仮想現実として描き、制作に約4カ月を費やしたという。
贈呈式は4月27日、GWの艦内公室で行われ、志磨さんが艦長のティモシー・キーハウス大佐を訪問し、手渡した。
志磨さんが米海軍艦船に絵画を贈呈したのは、佐世保に配備され、東日本大震災の救援活動などにも当たった強襲揚陸艦エセックスに贈った23年12月に続いて2度目となった。
第7艦隊全種類の艦船の絵の寄贈を目指す志磨さんは「日本の平和を守る大きな抑止力になっている艦隊。感謝の思いを込めて描きました」と話している。
また、志磨さんは4月24日に串本町大島の高台にある航空自衛隊第5警戒隊を訪れ、水彩画「基地上空を飛行するF―15」(73㌢×52㌢)を贈呈した。
制空戦闘機が、実際はあり得ないような低空を飛行する様子を、串本の海や風景とともに描き込んだ。航空自衛隊への寄贈は今回が初めてだが、すでに数点を描いており、これから順次寄贈する予定という。
絵画を受け取った串本分屯基地司令の鶴貝英俊2等空佐(43)は「勇気付けられ、心がほっとするような絵。志磨さんの優しさや隊員への応援の気持ちが伝わってくるようで、感激しました」と話していた。