高野山開創1200年に合わせた特別展「高野山開創と丹生都比売(にうつひめ)神社―大師と聖地を結ぶ神々」が、25日から6月7日まで、県立博物館(和歌山市吹上)で開かれる。丹生都比売神社の神々にまつわる歴史の謎をひもときながら、高野山とその文化圏の豊かな魅力を紹介する。
丹生都比売神社は高野山麓のかつらぎ町上天野にあり、高野山の鎮守社として古くから信仰を集めてきた。主祭神の丹生都比売命(丹生明神)は、紀ノ川から有田川の流域にかけて広く信仰される女神で、弘仁7年(816)に弘法大師空海が高野山を開創する際、犬を連れた猟師姿の狩場明神(高野明神)が仲立ちし、この女神から広大な神領を引き継いだとする伝承が知られている。
特別展では重要文化財や県指定文化財を含む71点を展示。このうち鎌倉時代に造られ、丹生高野四社明神を表した神像は日本最古のもの。銅で造った神像(個人蔵)と、その木製の神像(三谷薬師堂蔵)が残り、銅像と木型の両方が現存するのは日本で唯一という。
県立和歌山工業高校の生徒と同館が連携して作った「さわれるレプリカ」も展示。今展のために、さわって読む図録『世界遺産・高野山の歴史―弘法大師と密教の聖地』を作成し、視覚に障害のある人も楽しめるような展示になっている。
また特集展示「高野山と有田川流域の仏教文化」も同時開催。高野山の奥之院を源流とする有田川流域の仏教文化の姿を、仏像や経典から紹介する。入館料は一般510円、大学生300円。
同館の大河内智之主査学芸員による記念講演会「丹生高野四社明神をめぐる地域史―新出の女神像を中心に」は5月31日午後1時半から、県立近代美術館2階ホールで開かれる(申し込み不要)。
学芸員による展示解説は25日、5月3日、23日、6月6日のいずれも午後1時半から。問い合わせは同館(℡073・436・8670)。