希少種指定を受ける水辺の生物の繁殖環境を守るため、環境保全活動に取り組むNPO法人自然回復を試みる会・ビオトープ孟子(北原敏秀理事長)が海南市の孟子不動谷で改修整備を進めていた「トンボ池」が完成し、3月29日、お披露目観察会が開かれた。
同NPOは、孟子不動谷の環境保全や次世代に里山の魅力を伝えるためのイベントを開くなど、活動を展開している。平成21年には、日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」に同NPOの活動が登録された。
トンボ池ではこれまで、県レッドデータブック絶滅危惧(きぐ)Ⅰ類に指定されているアオヤンマなど70種類近くのトンボを確認。おととし、県立向陽中学校理科部がトンボ池で越冬するトンボの幼虫「ヤゴ」の状況を調査した際、トンボの種類は変わらないが、イノシシによる池の破壊やアメリカザリガニなどの外来種の侵入などで個体数が減少していることが分かった。
調査結果を受け、同NPOは平成26年度地球環境基金事業の一環として、池の保水力の回復やトンボ類の繁殖環境の改善を目指し、池堀の固定や水路の改修を進めていた。
観察会に訪れた地域住民らは、同NPOの有本智さんからトンボ池で採取されたヤゴの他、同Ⅰ類に指定されているニホンアカガエルや、同Ⅱ類のカスミサンショウウオの幼生の説明を受けた後、トンボ池で生物を採取し、観察を楽しんだ。
北原理事長(66)は「トンボは昔から里山の象徴。生物多様な里山を残し、次世代の子どもたちに伝えていきたい」と話していた。