近年、和歌山県でもニホンジカやイノシシなどの生息数が増加し、希少植物の食害など生態系への影響や農林水産業、生活環境への影響が深刻化しています。狩猟者の減少や高齢化、野生鳥獣を食べる習慣が減っていることなどがその要因として挙げられています。これまで野生鳥獣には牛や豚、鶏のような衛生管理のガイドラインがなく、都道府県が独自にガイドラインを作っていましたが、昨年11月、厚生労働省が「ジビエ料理」を安全に食べるためのガイドラインを公表しました。指針では狩猟者や食肉処理施設などが守るべき衛生管理法を示し、消費するまでの各段階で二重、三重の対策を講じる必要性を明示。万が一、食中毒などが発生した場合にも迅速な対策が取れるよう関係者に処理方法の記録・保存を求めています。国が統一的な衛生管理の在り方を示したことで、有害鳥獣を資源として活用する取り組みの進展が期待されています。
和歌山県の野生鳥獣による農作物被害は、平成25年度に約3億3100万円に上っています。かつてはニホンジカやイノシシを食用にする文化もありましたが、最近では捕獲された動物の多くは破棄されています。和歌山県では「ジビエ」に関わる事業者による有効活用が可能となるよう、国に先駆けて平成20年度に「わかやまジビエ衛生管理ガイドライン」を策定していました。また昨年には全国初となる「わかやまジビエ肉質等級制度」を導入し、基準を定めて料理に合った肉を購入できるようになりました。また現在、開催中(今月28日まで)の第4回「ジビエウィーク」では、県内のホテルやレストランでシカやイノシシを使った特製メニューを提供し、約100店舗で取り扱っています。2月16日には和歌山市のフレンチレストラン「オテルド・ヨシノ」の料理長による「料理人に対しての料理講習会」が行われ19店から参加した25人が、肉の切り方から香辛料やアルコールを入れるタイミングなどを具体的に学ぶイベントも行われました。イノシシはカロリーが牛肉の4分の1以下、豚肉の半分以下、鹿肉は鉄分が豊富で貧血や冷え性に効果があるとされ、特に女性にはお勧めかもしれません。
私たち公明党も、間近に迫った統一地方選挙の「重点政策」の中に、「鳥獣被害対策を強化し、地域資源のジビエ(シカ、イノシシなど野生鳥獣の肉)を生かした地域活性化の推進」を盛り込み、和歌山の地域経済の活性化のために、皆さんと一緒になって積極的に推進していくことにしています。