大企業だけでなく、中小企業にも低いハードルで森林保護活動に参加してもらおうと、新しい森林保護支援プログラム「グリーンバナー・プログラム」が誕生した。一口月額5000円で、毎月約2万4000平方㍍の森を守る活動を支援できる。参加企業は自社ホームページに「グリーンバナー」を掲示し、森を守り、企業のイメージも向上させるCSR(企業の社会貢献)活動を効果的に行える。
日本ユネスコ協会連盟「未来遺産運動」の連携事業「フォレストック認定制度」を活用したプログラム。
全国の認定森林(平成26年3月現在約5万㌶)が吸収するCO2量をクレジット化し、それを企業などが購入。集まったお金で森林組合などが、間伐、枝打ち、下刈りなど、森林機能の維持に必要な活動を行う。
おととし約30年ぶりに東京から帰郷した、海南市出身の榎本孝さん(49)=同プログラム西日本統括コンサルタント=が、整備が行き届いていない和歌山の森の現状を知り、中小企業も森林保護に参加できる仕組みをと、東京の関係者らと共に考案した。
水環境整備に携わる榎本さんは、ある官民連携の事業で和歌山の森を訪れた際、間伐材が散乱しているのに驚いたという。搬出費用がないためだといい、災害時にはそれが川やダムに流れ込み、その撤去にまた莫大な費用がかかることを知った。
間伐の進まない森は木が密集してやせ細り、CO2吸収力が低下。根が細くなり、保水能力や土砂崩れの防止効果が低下するなど、さまざまな問題がある。間伐材の放置は和歌山だけでなく全国的に見られるという。
プログラムでは保護支援する森林を、北海道・東北▽関東・甲信越▽東海・北陸▽近畿・四国▽中国地方▽九州▽日本――の7地域から選び、「○○の森を守っています」とバナーに表示。支援している森を明記することで、明確なメッセージを顧客や社会にアピールできる。
バナーだけでなく、名刺にプログラムのロゴを入れたり、参加証を使ったりもできる。
先月から参加企業を募集し、今月からバナーの表示がスタートしている。今後は自治体に協力を求め、7地域をより細分化していくという。榎本さんは「和歌山の森は、和歌山の人で守りましょう。プログラムを通して県民と森の橋渡しができれば」と話している。
プログラムの詳細や申し込みはホームページ(http://www.green-bp.jp/)で。