高齢者が昔の生活道具に触れ、懐かしい記憶や楽しかった思い出を呼び起こしてもらうことにより脳の活性化を図るという、介護予防に役立てる展示を和歌山市立博物館(同市湊本町)が初めて企画し、開催されている。3月1日まで。
同館の恒例となっている冬季特別陳列「歴史を語る道具たち」での試み。博物館と福祉のつながり「博福連携」をテーマに、昔の思い出を振り返ることによって高齢者の脳を活性化させる非薬物療法の一つ「回想法」に注目して初めて企画された。認知症の予防や進行を遅らせる効果があるといわれている。
同展覧会は、蓄音機や黒電話などの「暮らしの道具」、めんこやお手玉、教科書などの「遊びと勉強」、提灯やランプなどの「明かりの道具」といったテーマ別に約150点が紹介されている。
回想法のプログラムとしては、高齢者福祉施設の利用向けに別室のコーナーを設け、コンパクト蓄音機、炭火アイロン、鉄砲風呂(薪風呂)、白黒テレビ(昭和34年)、電気こたつ(同40年代)、掃除機(同30年代)などの生活道具に実際に触れることができる。展示を担当する同館の近藤壮学芸員(44)は「反響があれば、市外の高齢者福祉施設の方にも訪れてもらい、健康増進に寄与できれば」と話している。また、同展覧会は小学校3・4年生社会科の「今にのこる昔とくらしのうつりかわり」の授業に対応する企画となっており、児童が実物の資料に接して学習を深める機会としてほしいとしている。
入館料は、一般・大学生が100円、小中高校生と市発行の老人優待利用券利用者、身体障害者手帳などを持っている人は無料。体験プログラムは事前予約制。問い合わせは同館(℡073・423・0003)。