複雑多様化する災害に対応するため、那賀消防組合は県内で初めて、軽救急車(小型多目的搬送車)を新規配備し、運用を開始した。軽救急車は管内区域で山間地が多く、市街地でも幅員の狭い道路が目立つ同組合東消防署(紀の川市粉河)に配備している。
同組合によると、これまでは火災や救助事案などが発生した際、消防車として登録を受けた軽四輪貨物車で対応していた。幅員の狭い道路に救急車の侵入が困難な場合は、そこから先は徒歩となってしまうため、災害対応の際に、現場到着や患者との接触までに時間がかかる事案が年に数件あった。
今回の配備はこうした問題に対応するためで、軽自動車で救急車の登録を受けての運用は、県内で初めてとなる。
導入した軽救急車は、全長3㍍39㌢、全幅1㍍47㌢。全長5㍍67㌢、全幅1㍍89㌢の従来の救急車に比べると、侵入できる道路が増え、迅速な対応が可能となる。軽救急車は、車体が軽自動車でありながら患者の収容や応急処置ができる救急車としての機能を持っている。また、悪路に対応するため四輪駆動方式を採用。後部荷室内には救急の他、救助や警防などのさまざまな災害に応じて支援活動に当たれるよう、資機材固定装置も備えている。
同組合は「車両の特性や装備を有効活用し、さらなる救命率の向上を図りたい。一層、住民の信頼を得られるよう努めていく」と話している。