和歌山市出身の経営者、松下幸之助(1894~1989)の秘書を23年間務めた江口克彦氏(74)=参院議員=が28日、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で講演し、「社会は今こそ人を大事にする日本的経営に戻るべきだ」と熱く語った。
今月27日の幸之助生誕120周年を記念して企画された勉強会(発起人=近藤洋介和歌山トライアンズオーナー、津村周㈱和歌山新報社社長)に招かれた。
幸之助や昭和の経営者が貫いた日本的経営の特長について、「最初は100人で一つの仕事をしても5年ほどすれば60人でできるようになる。アメリカ的経営は残りを解雇するが、日本的経営は、その40人で新たな事業を展開させることを繰り返してきたことで、自然に事業が拡大していく」と戦後日本が経済成長を遂げた要因を解説した。幸之助の普段の人柄については、「ものすごく厳しい人だったが、叱ることがうまかったので、叱られた人は勲章だと思っていた」と逸話も明かした。
世界200カ国で幸之助の教えを伝えてきたという江口氏は、和歌山について「幸之助の生誕の地として、日本的経営を前面に押し出したまちづくりをすれば、世界中から人々が訪れるまちになる」とエールを送った。