岩出市教育委員会は、岩出図書館で勤務する司書を市内の小学校に派遣し、児童に本を紹介したり、絵本を読み聞かせたりする新事業を始めている。事業開始から約2カ月、読書に対する児童の関心は高まり、学校図書室や公共図書館の利用促進につながっているようだ。
市教委によると、新事業は、児童の読解力向上やいじめなどに対する心の教育に取り組む他、公共図書館と学校の連携を高め、図書館の機能を最大限に活用しながら活性化を図る狙いがあるという。
事業では、4人の司書を市内6小学校に派遣し、各学校で週に1度活動している。披露する本は司書と学校側で協議しながら選び、教科書で学んだ作品と同じ作者のものや、季節感のあるもの、日本語のおもしろさを伝えるものなどジャンルはさまざまだ。
司書が学校図書室の環境整備も手掛け、児童や学校側から要望のあった本などを図書館から取り寄せている。以前より分かりやすく借りやすい状況を作り出したことで、図書室を利用する児童は増加傾向にあり、普段、教員が児童に図書の整理を注意していたのが、自主的に整理に取り組む児童も見られるようになったという。
司書の一人である妻鹿友子さんは、山崎北小学校と根来小学校の2校を担当。14日には山崎北小学校(伊藤暢芳校長)2年生(117人)の国語の授業で、「フレデリック」や「どろんここぶた」などの作品を披露した。児童は終始、妻鹿さんの読み聞かせに集中した様子で、伊藤校長は「子どもたちの読書の幅が広がった。司書の方のおかげで、図書室は憩いの場所になりつつある」と話す。
児童の読書に対する関心の高さは、公共図書館の利用にも反映している。同市根来の岩出図書館では事業開始後の利用状況が、司書が紹介した作品を求めて図書館に足を運ぶ児童や、司書を「先生」と慕い、会いに来る児童で増加したという。
同図書館の担当者は「学校と連携しながら促進が図れ、児童の来館により図書館の利用者は幅広くなってきている。子どもたちの読書が増えたことは、とても大きな意味がある」と話している。