文豪・夏目漱石が鑑賞したと思われる明治時代の演奏会を再現した「夏目漱石の聴いたクラシックコンサート~文学と音楽の出会い~」が6日、和歌山市西高松の県立図書館メディア・アート・ホールで開かれ、約300人が美しい音色に聴き入った。
出演は、和歌山市出身のバイオリニスト・澤和樹さん、ピアニストの小川友子さん、チェリストの北口大輔さん、筝奏者の西陽子さんの4人。ゲストで「和歌山漱石の会」を主宰する恩田雅和さんが演奏曲にまつわる漱石のエピソードなどを紹介した。
コンサートを企画・構成した小川さんは「明治時代は、邦楽家が洋楽家でもあり、邦楽と洋楽がよく同じコンサートで演奏された。和歌山にゆかりのある漱石が親しんだ名曲の数々を、当時の雰囲気とともにお楽しみください」とはかま姿であいさつした。
漱石の小説「野分」にも登場するベートーベンのバイオリン・ソナタやメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲をはじめ、琴も加わったラヴェルの「マ・メール・ロワ」より「妖精の園」など8曲が演奏された。
和歌山市西高松の60代の女性は「洋楽と邦楽の融合がすばらしい。圧巻の演奏でした」。和歌山大学教授でオーボエ奏者の米山龍介さんは「新鮮な響きで漱石がよみがえってきたよう。近年にない演奏会で、日本の文化を再認識した」と笑顔で話していた。