詩集『にんげんだもの』などで知られる書家で詩人の相田みつを(本名=相田光雄、1924~1991)の長男、相田一人(かずひと)さん(58)が21日、海南市の市民交流センターふれあいホールで講演し、父の歩んできた人生とともに作品を紹介した。
下津町仏教会(石本晴教会長)の講演会。父の死後、一人さんは作品の整理や遺作展の監修に携わり、平成8年に「相田みつを美術館」(東京都)を開設。館長を務める他、執筆や各地で講演などの活動をしている。
一人さんは「父の作品は目で見ていただかないと思いは伝わりません」と、スクリーンに独特な字でつづられた作品を映しながら講演。第2次世界大戦、戦後混乱期などを体験してきた父の少年・青年時代を振り返りながら、「道」「ひぐらしの声」などの詩の背景や思いを息子の立場から話した。
「『道』は父の人生そのもの」。一人さんは「人間に生まれて病気、苦労もしないことは幸せですが、本当にそんな人はいません。気楽に見える人でも、本人はそうでもないかもしれない」と話し、誰にでも「どうしても避けられない道」があると詩の一文を話した。
また「父は自分自身に向かって詩を書いていたのではないかな」「父は頭の中でイメージして詩を書くのではなく、実体験を基に詩を紡いでいった人だと思う」など、父の人柄を語った。