平成11年に新宮市で発生した殺人事件で全国指名手配されていた住居不詳の無職、上田英昭容疑者(53)について、県警組織犯罪対策課は23日、愛知県内で発見し、殺人容疑で逮捕したと発表した。事件発生から14年10カ月の逃亡劇は、一般市民からの情報提供により急展開を迎えた。
同課によると、上田容疑者は暴力団五代目山口組三代目新宮南組の幹部組員だった平成11年9月29日午後9時35分ごろ、他の男2人(服役中)と共謀し、新宮市内の路上で、中林喜文元同組組長代行(当時56)を拳銃の実弾5発を顔や腹などに命中させ殺害した疑い。
一般市民から「上田に似た男を見た」との通報を受けた愛知県碧南署の署員が捜索中、高浜市内のパチンコ店にいた上田容疑者を発見。任意同行を求め署で事情聴取したところ、本人であることを認め、指紋照合も一致したことから逮捕したという。
犯行について上田容疑者は「間違いありません」と容疑を認めているものの、その他については話していないという。
同事件では、上部組織の分裂による内部対立から事件に発展したとみられているが、事件に至った背後関係の全容解明が進んでおらず、同課は上田容疑者の身柄を県内に移して取り調べ、当時の組織の状況や逃走ルート、潜伏先などの解明を進めている。