和歌山市岩橋の県立紀伊風土記の丘で9日、六十谷の紀の川から引き揚げられた巨大クスノキ(高さ約5・3㍍、重さ約26㌧、周囲約12㍍)の組み立て作業が無事成功し、元の立派な姿がよみがえった。主に作業を担当した有田市の木徳林業4代目、狗巻(いぬまき)義博さんは「切断してから時間がたち、多少木の膨張や収縮があったが、何とか組み立てられてほっとしている。歴史ある巨木を皆さんに見てもらいたい」と話している。
巨木は昨年5月に3分割にされ、展示保存するために同施設に運ばれていた。
作業は今月7日に開始。9日には狗巻さんの仲間で岐阜県や福島県など全国各地の林業関係者ら約10人が応援に駆け付けた。
地域住民らが見守る中、クレーンで展示場所となる同施設資料館前に慎重に運んだ。木の上下部分にはケヤキの杭「だぼ」を5本、上下の横に接続する部分にはボルトを5本通し、固定した。
チェーンソーで木を削ると、クスノキの香りが辺り一面に漂った。近くから訪れ、組み立てを見届けた大橋廸代(みちよ)さんは「壮大な自然の力を感じます。エネルギーがもらえますね」とにっこり。同施設の志水敦さんは「組み上がってみるとやっぱり大きい。展示を通して多くの皆さんにクスノキの大きさや香りを感じてほしいですね」と話している。
3月に予定している展示開始まで、木はブルーシートで覆い、展示する建屋の柱と屋根が造られる。