和歌山市の中心市街地、ぶらくり丁商店街が転換点に直面している。春には消費増税、郊外での大型商業施設オープンと、大きく外的環境が変化。また地元で賛否両論の議論が展開された、商店街内への場外馬券場の設置許可が国から下りた。一方で商店街側は、これまで行わなかった店舗の誘致活動を自分たちで積極的に行うことを決めるなど、活性化に向け希望の光は消えていない。
商店街関係者によると最近、長年商店街を支えてきた高齢者経営の店舗が、後継者がいないことや、この春の外的環境変化を引き金として相次いで閉店しているという。しかし数店ではあるが、若い経営者が空き店舗を利用して飲食店をオープンするなど明るい動きもある。
同商店街協同組合の成瀬鋼理事長(42)は「昨年10月にアーケードの改修も完了した。われわれはただ衰退を見ているわけにはいかない。希望を持って店舗誘致を頑張りたい」と意気込む。
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中心市街地活性化に向け、和歌山市は平成19年8月から5年間、中心市街地活性化基本計画に基づき各種イベントなどさまざまな取り組みを実施し、一定のにぎわいを創出した。
しかし、ぶらくり丁周辺7地点の歩行者・自転車通行量を調査したところ、18年の2万2075人に対し、23年は1万7107人(目標値2万6500人)と減少を食い止めることができなかった。
市は現在、長期的な目線でぶらくり丁の活性化を考える事業「リノベーションわかやま」を実施。ことしに入り一般参加者30人が決まった。来月20日から4日間の日程でカリキュラムを修了した参加者が、不動産オーナーらに対してプレゼンテーションを行い、遊休不動産活用のアイデアを提案する予定。
市商工まちおこし課は「大型商業施設とは違う土俵で魅力を創造できれば」と話している。
場外馬券場設置決定
農林水産省の判断が注目されていた、ぶらくり丁のブリスビル地下に設置予定の兵庫県場外馬券場の設置許可が決定し、工事が開始されることが事業を請け負う㈱キャンター関係者への取材で分かった。完成時期については未定という。
同社が市に示した当初計画では、想定入場者数は一日1000人。年間売り上げは8億7000万円を見込んでいる。
同計画をめぐっては、「ぶらくり丁の人通りの増加に期待したい」という前向きな意見の他、「ギャンブル施設は青少年の教育環境に悪影響を与える」など設置反対の声もあり、営業開始後の地域への影響が注目される。