和歌山市和歌浦中の松井瑛雄(てるお)さん(85)が大学教授らと共に「和歌浦昭和初期の再現マップと資料」を作成、発行した。地元でも、当時の町の様子を知らない人がほとんど。地図は全てフリーハンドで書かれており、後世に伝えていきたいという思いから記憶を頼りに完成させた。地図を見た住民らは、昭和初期を思い起こすことができる、と喜んでいる。
松井さんは昭和3年生まれ。平成3年から地域の自治会長を務めている。自治会の講話で殴り書きのような地図を使って和歌浦のことを紹介したのがきっかけで、昨年7月から和歌山大学教育学部社会教育学教室の米田頼司教授らと共同で、再現マップの作成に取り掛かった。
記憶を頼りに地図に起こし、説明の資料を作成した。「今のことはすぐ忘れてしまうが、昔のことはよく思い出せる」と振り返った。
地図が完成したことについて「みんなが褒めてくれる。地図や資料を読んで、昔のことを思い出したと言ってくれる人も多く、うれしい」と話し、「まだまだ載せられなかった話もたくさんある。これからも和歌浦の歴史を後世に伝えていきたい」と意気込んでいる。
地図は和歌浦西の市役所和歌浦支所(℡073・444・0001)で閲覧できる。