知事の印鑑を偽造して許可書を交付したり、申請書を処理せずに放置したりしたとして県は11月29日、西牟婁振興局健康福祉部の男性副主査(41)を停職6カ月の懲戒処分とした。同部幹部らが会見で発表、謝罪した。
発表によると、副主査は昨年1月からことし2月にかけて、田辺市や白浜町などの国定公園や県立自然公園の敷地内に携帯電話の基地局や道路の擁壁などを設置する許可申請30件のうち、24件を事務手続きをせずに放置。4件は他の決裁書類に紛れ込ませ、無断で知事印を押した許可書を申請者に交付していた。
さらに2件は、知事印のコピーをカッターナイフで切り抜き、それを型紙にして綿棒で朱肉を付けるなどの方法で印影を偽造していた。
副主査は県の調査に対し、紀伊半島大水害の復旧工事が相次いだ時期で事務処理の時機を逸したと説明。「大変なことをしてしまい、関係者に多大な迷惑をかけ申し訳ない」と話したという。同日付で依願退職した。
県監察査察課は、今回の不祥事の調査を通して、公文書の処理経過を手書きで記録する「文書カード」の運用が形骸化しているとし、新たな公文書管理システムを構築することなどを仁坂吉伸知事に上申している。