紀の川市名手市場の史跡「旧名手宿本陣」を活用して地域を活性化させようと、旧那賀町の有志が中心となって立ち上げた「名手本陣の保存活用と地域活性化実行委員会」(吉田喜代司会長)が、活動を始めている。先人が築いた歴史ある文化財を守り、活用することを理念とし、事業に取り組んでいく。
同委員会はことし6月に結成。地域の有志や市議会議員など17人の会員で構成している。
吉田会長(78)によると、旧名手宿本陣は昭和44年3月に重要文化財旧名手本陣妹背家住宅として主屋・米蔵・南倉が指定され、翌45年には敷地全体が国指定史跡となった。居住地の北側には、江戸時代に伊都郡代官の管理の下で伊都奉行の同心が駐在し、収税や司法などの任に当たった郡役所があったが、老朽化などの問題で平成9年度に建物を解体。保存小屋に部材を養生しているという。
同委員会では、この郡役所機能を備えた本陣跡の復元や、文化財としてふさわしい塀を改修することで、歴史的文化財を後世に残し、地域の活性化につなげようと、復元の実現に向けた活動に乗り出した。8月には、復元整備を求める要望書を、中村愼司市長に提出している。
吉田会長は「郡役所を再現し、本陣を拠点として地域を活性化するために取り組んでいきたい」と話している。