【1面関連】自転車競技、男子4㌔チーム・パーシュートの表彰式。その一番高い台に県チームの“5人”が登った。
優勝メンバー4人は、3月に不慮の事故で亡くなった和田力選手(享年22)=和歌山北高出身=の写真を手に、喜びを分かち合った。
県チームは3年前から合宿を重ねてきた仲間。和田は昨年春の全日本自転車競技選手権には同種目の一員として出場し、2位の成績に貢献するなど、将来を期待された若手選手だった。
和田の代わりに、日本大学の後輩、佐々木眞也(21)が急きょ県メンバー入り。国体まで残り5カ月を切った5月ごろから作戦を練り直し、調整してきたという。
突然の仲間の悲報に動揺は大きかったが、チームを引っ張る窪木一茂は、ナショナルチームで学んだ持てる技術を全てメンバーにたたき込み、密に連絡を取りながら絆を深めてきた。それぞれの自転車に「和田力」と書いたステッカーを貼り、心一つに地元での国体を迎えた。
佐々木は「(和田は)偉大な先輩。いい結果を残さないと、という重圧はありました。きょうの決勝では、和田先輩が僕の背中を押してくれているようでした」と振り返った。
優勝という最高の結果に、窪木は「和田も、きっと喜んでくれているはず。今回の結果には胸を張りたい」。
窪木は表彰台に立ち、佐々木が胸に掲げた和田の写真をのぞき込んだ。「ここにいないことが、いまでも信じられない。誰からも好かれる選手で、シャイなヤツだった。きょうは、泣いてるかな、笑ってるかな」