学生時代や職場でいじめを受けた経験を基に、同じようにつらい思いをしている人の助けになりたいと、和歌山市在住の女性イラスト作家Rui(るい)さん(31)が、絵本「だいじょうぶだよ。」(㈱アットワークス発行、定価1620円)を出版。内容が共感を呼び、全国50カ所の図書館に納入されるなど、話題を呼んでいる。
Ruiさんは、同市内の進学高校に在籍中、自分の気持ちをうまく表現できない性格などからいじめのターゲットになり、持ち物が無くなることなどが続発。不登校を繰り返しながらも卒業し、理系大学に進んだ。大学卒業後は、歯科衛生士養成の専門学校に通い国家資格も取得。しかし、勤め先の歯科医院では人間関係がうまくいかず、5カ月で退職した。
絵本の出版は、自宅で飼っているウサギ「りょうま」(オス6歳)やシーズー犬「ウメ」(メス15歳)など、気分転換にとスケッチブックに描きためた絵を動画サイトに投稿したことがきっかけ。知人の目に留まり、出版を勧められ、次々に話が進んだ。
物語は「りょうま」が主人公。ケーキ作りや運動などに真面目に頑張る「りょうま」だが、失敗が続き、叱られるなどして気持ちが落ち込み、「自分はダメだ」と思ってしまう。それでも、大好きな仲間と励まし合い乗り越えていく。りょうまがくじけそうになる場面は、自身の経験と重ね、つらかった日々を表現したRuiさん。絵は色鉛筆で色付けし、温かい印象の作品に仕上げた。
現在は、2作目の制作に取り掛かっているという。
Ruiさんは「自分を責めてしまう人は、それだけ頑張っている証拠。絵本を読んで、自分をそんなに責めないように心を楽にしてほしい」と作品に込めた思いを話す。
絵本は、宮脇書店や帯伊書店、楽天、アマゾンなどで販売中。問い合わせは同社(℡06・6920・8626)。