和歌山市は、市街地の拡散や中心部の空洞化を食い止め、尾花正啓市長が掲げるコンパクトシティーの実現や優良農地の保全のため、市街化調整区域の開発基準を見直す。10月15日までパブリックコメントを実施し、見直し案に対する市民の意見を募集している。市は、意見を踏まえて新開発基準を盛り込んだ条例改正案を12月市議会に上程し、来年4月からの施行を目指す。 市都市計画課によると、将来的に人口が減少した場合でも持続可能な行政サービスを実現することを目的に、市街地が拡散する開発の抑制を目指すもの。
見直し案では、既存集落区域の立地基準となっている、建築物の敷地相互間隔が50㍍以内で50以上の建築物が連たんする「50戸連たん」を廃止。「岩橋・栗栖などの一部」「小倉・布施屋などの一部」「神前・坂田などの一部」「冬野・内原・本渡などの一部」の4区域で専用住宅などの立地を認めてきた「指定集落の基準」も廃止する。さらに、鉄道駅周辺の立地基準を従来の「300㍍内」から「原則100㍍内」に縮小し、駅中心部からの開発促進を狙う。
見直し案が実施されれば、多くのケースで市街化調整区域内で農地を転用した住宅建築ができなくなり、鉄道駅周辺に開発を誘導できると見込まれている。
また、市街化調整区域で昨年度、住宅メーカーや個人などに開発許可が出た件数は42件。そのうち約半数が新基準なら適用外となることから、住宅などの開発に変化が生じることは確実となる。一方で、分家住宅や農業者住宅、日常生活上必要な店舗、沿道での休憩所・給油所、既存工場の拡張などの立地は見直し後も可能としている。
尾花市長は「人口が減っていくなかで都市が拡散するのは、インフラ整備や維持などの面で非効率」とし、「中心市街地の空洞化などいろいろな弊害を克服するためにも、コンパクトシティー実現に向けてかじを切っていきたい」との考えを示している。
見直し案は市ホームページ(http://www.city.wakayama.wakayama.jp/menu_1/new/publiccomment/kaihatsukijunminaoshi/)で閲覧できる。意見の応募方法など問い合わせは同課(℡073・435・1228)。