開幕まで80日余りとなった障害者スポーツの祭典「紀の国わかやま大会」を盛り上げようと、同大会のイメージソング「明日へと」の手話プロモーションビデオの制作が進んでいる。和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場周辺での収録には約200人が参加し、歌詞を手話で表現しながら、軽快な音楽に合わせて笑顔でステップを踏んだ。
呼び掛け人は田辺市出身の俳優・小西博之さん(55)。小西さんは同大会開会式のオープニングプログラムなどに参加を予定している。3年前から手話を習っており、「明るく楽しい、躍動感ある手話DVDを」「障害がある人もそうでない人も垣根を越えて通じ合えるような映像に」と企画し、県などに働き掛けて実現した。
映像は「驚き」や「感動」をコンセプトに、那智勝浦町や湯浅町、田辺市など県内10カ所で撮影。聴覚に障害のある人や手話サークルメンバーの他にも、陸上や車椅子バスケットボールの選手など、さまざまな障害のある人が協力し、出演しているという。
小西さんは「私たちがよく目にするような手話映像ではなく、格好いいものにしたいと思った。興味や関心がなかった人にも、『手話は楽しい』と感じてもらいたい。『国体・大会ってこんなに楽しい』と希望や勇気が湧くような感動の映像を和歌山から発信したい」と意気込んでいる。
5分程度の物語性のあるDVD映像に仕上げ、近く同大会実行委員会ホームページなどで公開される予定。
収録に参加し、開会式にも出演予定の橋本市の土井ふじ子さん(65)は「歌って踊って、みんなで参加している気分になって楽しかったです。全国からたくさんの人においでいただきたいです」と手話で喜びを表現。紀の川市貴志川町の手話サークル「ポケット」の稲葉由美子さん(61)は「こんな体験は一生に一度きり。皆さんが感動できる大会になるよう、本番に向けて頑張ります」と笑顔で話していた。