紀の国わかやま国体・大会に向けて取り組まれている「花いっぱい運動」が不法投棄防止にもつながるなど、まちなか美化への成果が現れている。和歌山市太田の旧大門川に架かる大門橋上では、運動により不法投棄がなくなった。太田東自治会の小西正太郎会長(69)は「不法投棄がなくなったばかりか、地区内の高齢者の会話のきっかけにもなっていて、花の力は大きい」と喜んでいる。
この場所は、地区の玄関口に位置しながら数十年前から不法投棄が慢性化していた。引っ越しなどで不用になったテレビや冷蔵庫、寝具などが次々と捨てられ、人の背丈ほどまで積み上がった状態だったという。夏には、廃棄物が異臭を放つなど、地区にとって大きな悩みの種になっていた。
国体開催を控え、隣接する太田東、住宅西、北太田の3自治会が協力し、不法投棄物の撤去と市の国体事業を連動させてプランター数個を設置。その後は、太田東自治会の大谷昇さん(77)と妻の公(きみ)さん(70)がボランティアで毎日朝夕の水やりを欠かさず続けてきた。今ではプランターも増え、ベゴニアやポーチュラカ、サルビアなど、季節によってさまざまな花が咲き、地域住民の目も楽しませている。
昨年からは、近くのマンションオーナーが水道水を無料で提供するなど、協力の輪も広がった。大谷さんは「地域の人に楽しんでもらえていることに、喜んで世話をさせてもらっています」と笑顔で話している。