近い将来発生が予想される南海トラフ大地震などの大規模災害に備え、和歌山市内の小学校でプールの水を緊急時の飲料水として利用するシステムが導入されている。
15日に行われた芦原小学校の新プール竣工式でも、装備された「緊急用浄水システム」が公開された。市教育委員会教育施設課によると、市内での導入は、藤戸台小学校に続くもの。本年度は、芦原小学校と大新小学校に設置され、計3校になった。
設備の規模は地域住民数などによって決めており、芦原小学校の場合は、1日1万2400㍑の浄水が可能で、10日分の飲料水が確保されるという。装置の価格は1080万円(2分の1を国が補助)。プールの水は、清掃時以外はためた状態で、停電しても装備の発電機で作動させることができるため、いつでも飲料水を供給することができる。
浄化方法は、海水の淡水化を目的として開発された逆浸透膜ろ過と、塩素滅菌。施設の外に設置された4本の蛇口からは、通常の水道水と同じような勢いで水が出ていた。塩素臭も強くなく、試飲した竣工式出席者からは、「災害時の飲料水なら十分」などの声があり、災害時に備え、期待が寄せられた。