9日午前10時50分ごろ、解体作業が進められていた和歌山市加太の国登録有形文化財「吾妻屋(あづまや)旧本館」(木造2階建て)で、作業中に建物の一部が倒壊し、淡嶋神社の参道沿いに並ぶ商店の長屋に倒れ掛かるように接触した。この事故によるけが人はなかった。
付近住民らの話によると、事故当時、「ドカーン」という大きな音がしたことから解体現場を見てみると、目の前が何も見えないほど砂ぼこりが舞い、建物が商店に寄り掛かっていたという。
屋根の瓦などがそのままの状態で解体作業に入ったため、屋根の重みで建物が予想外の方向に傾いたとみられている。この事故により、商店の建物の一部ががれきの重みで傾き、営業できない事態になった。
被害に遭った商店の関係者は「活気付くシーズンに、営業できないのは非常に痛手。早く店舗を修復して再開したい」と話していた。
吾妻屋旧本館は昭和8年に建築され、平成19年に国登録有形文化財となっていた。