全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長(69)の辞任表明に伴う次期会長選挙に、副会長でJA和歌山中央会会長の中家徹氏(65)が立候補の意志を固め5日、和歌山市美園町の県JAビルで出馬表明会見を開いた。農業が衰退傾向にある中で、生産現場を主体とする全中組織への改革を訴えた。
中家氏は、現在の農業とJAが直面している課題について、過疎化などによる「農業・農村の衰退」、組合員減少による「経営危機」、組合員間で調整できない過度な価格競争の現状などの「共同組合の在り方」の3つの問題点を挙げ、危機感を示した。
今後の農業の展望については「今までは、生産すれば金になったが、今はどう売るかが重要。輸出も含めて需要がある先を見つけるとともに、肥料などのコストダウンにより、農家の所得を上げていきたい」と決意を述べた。
JA全中の会長選は、ことし4月、農協法改正案の閣議決定を受けて万歳会長が辞任表明したことから実施される。同法案によりJA全中は、社団法人化や地域農協への一律的な監査の廃止などの変革を迫られている。
中家氏はJA紀南代表理事組合長などを経て、平成24年6月からJA和歌山中央会会長、26年8月からJA全中副会長を務めている。
次期会長選挙にはJA三重中央会の奥野長衛会長(68)も立候補を表明しており、10年ぶりの選挙戦になる見込み。選挙人は、単位JAや各中央会のトップなど代議員251人。今月23日に投票が開始され、7月2日に開票される。