ウェブサイト「近畿痴漢プレイ待ち合わせ掲示板」で痴漢してくれる人を募集するという書き込みを見た男が4月30日朝、JR和歌山線電車内で無関係の女性に痴漢し逮捕された事件の捜査は、意外な進展を見せている。「自分が女性になりすまして書き込んだ」と、県内の税務署に勤める大阪国税局職員の男(49)が5月中旬、友人に連れられて和歌山東署に出頭してきたという。
同署によると、男がサイトへのアクセスに使用した携帯電話の履歴を消去していたため、出頭当日の取り調べは男の記憶のみが頼りに。事件当日、同じ電車に乗っていたという男の証言が被害女性の特徴と一部食い違う点があることなどから、この日の立件は見送った。
同署はこれまで、現場などでの聞き込み捜査から、事件に関与した疑いがある十数人を特定し、参考人として事情聴取している。同署は「国税局職員も、一線上にある十数人の参考人の一人。慎重に捜査を進めている」と説明する。今後、痴漢サイト運営者が利用していた米国のサーバーからアクセス情報を取り寄せ、なりすまし犯の特定を進める考え。
痴漢サイトまん延 同事件では、「ゆい」という女性を名乗る者が掲示板に書き込み、その内容は「声かけ無しでリアルに触って下さい」「嫌がるそぶりもしますが、気にしないでね」など、犯行が実行されるように周到に計算されていた。なりすましの書き込みを信じて女性に触った大阪府岸和田市の男(26)が強制わいせつ容疑で逮捕(送検後に処分保留で釈放)。女性に触ったもう一人の男は逃走した。
同掲示板は事件を受けて閉鎖されたものの、同様の別サイトは複数あり、現在も運営を続け、連日にわたり投稿者の書き込みが増え続けている。各サイト内には「※当サイトは犯罪行為である痴漢を助長するものではありません」などと表示されているものの、痴漢体験談コーナーも設けられるなど、閲覧者をあおり痴漢行為を助長する内容で、新たな被害者を生まないか危惧される。