元県警科学捜査研究所主任研究員が事件の鑑定データに別事件のデータを流用し上司の決裁を受けたなどとして、証拠隠滅と有印公文書偽造・同行使などの罪に問われた和歌山市の無職、能阿弥昌昭被告(50)の判決公判が13日、和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)であり、浅見裁判長は能阿弥被告に懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。
浅見裁判長は起訴内容を全て認定した上で「警察という高い倫理が求められ、さらに幹部職員で後輩の指導などを行う立場にあったにもかかわらず行った犯行」とし、「データを流用する単純な犯行だが、専門性を利用し悪質。警察への国民の信頼を大きく損ねた」などと厳しく指摘した。
一方で「事件の歪曲(わいきょく)を目的とするものではない」と捏造(ねつぞう)の意図はなかったと認めた。また、すでに依願退職していることや勤勉な性格で、再犯の恐れがないとし「社会で更生の機会を与えることが適切」として執行猶予判決の理由を説明した。能阿弥被告は浅見裁判長の判決言い渡しの最中、じっと前を見て動かず聞いていた。
起訴状によると能阿弥被告は、平成22年5月6日ごろから24年1月12日ごろまでの間、科捜研で勤務していた際、自動車運転過失傷害など6事件の測定や写真のデータを別の事件のデータとすり替えて同所所長の決裁を受けて偽造したなどとされている。