南海トラフ地震に備え、県と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は海底に設置したセンサーを使った津波予測システムを共同開発し、予測情報を市町村などに提供するため、気象庁以外で初めて、同庁から津波予報業務の許可を取得(3月26日付)した。沿岸市町村などへの説明会を開いた後、串本町内7区域を対象に今月にも予報業務を開始する。
仁坂吉伸知事が3月31日の定例会見で発表した。予測情報の第三者への提供が気象予報に当たるため、業務の許可を得たという。
開発した予測システムは、同機構が三重県尾鷲市沖120~150㌔先の海底20カ所に水圧計などを設置した地震津波観測監視システム「DONET1」による観測データを利用。津波を観測すると、串本町有田、高富、串本3カ所、大島、姫の計7区域、それぞれへの第一波到達時刻と最大津波高を、あらかじめ算出した約1500ケースから瞬時に予測できる。
今後、高知県室戸岬沖から和歌山県潮岬沖にかけて設置された「DONET2」の観測情報も加えて予測精度を高め、平成28年度を目標に予測地点を県内全域の約100カ所に拡大する。
市町村などは提供された予測情報を災害対応に活用。津波の規模をいち早く把握し、夜間など状況がつかめない場合での被害想定や、災害対応を行う判断に効果が発揮されることが期待される。
甚大な津波が予測された場合は、エリアメールなどで県民に「大きな津波が来ること」を呼び掛け、避難につなげる。