和歌山市栄谷の和歌山大学で22日、シンポジウム「和歌山を、宇宙からの防災・教育の拠点に」が開かれ、国内外の防災関係者や研究者が防災への取り組みを紹介。人工衛星などを利用することで、災害予測や減災にも役立つとして、意見を交わした。
南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備え、宇宙からの視点で地域防災を考えようと、同大学が主催。国土交通省近畿地方整備局が共催し、昨年に続く2度目の開催。約200人が来場した。
二階俊博衆議院議員のあいさつに続き、東京大学の柴崎亮介教授や元気象庁長官の山本孝二氏、和歌山大学の秋山演亮教授らが発表。超音波を応用したセンシング(計測)技術や、気象センサーや監視カメラの情報を集約し、防災情報を共有できるシステム開発などを紹介した。
パネルディスカッションでは有識者8人が登壇。内閣府宇宙戦略室長の小宮義則氏は「衛星や地上のあらゆるデータを解析し、県や市町村に分配できるような体制づくりが重要」と話し、柴崎教授は「気象や災害に関するビッグデータを、研究者ですらきちんと検証できていないのではないか。どう生かすかが課題」と指摘した。
和歌山大学の山本健慈学長は「和歌山大学は県のことだけでなく、紀伊半島に責任を持つという思いで他大学とも連携を進めている。宇宙防災の取り組みを発展させるため、全国的なイニシアチブ(主導権)をとる必要がある」と今後の研究の継続に期待を寄せた。