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根来寺「鳥羽天皇像」など重要文化財に

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 国の文化審議会(宮田亮平会長)は13日、岩出市根来の根来寺に伝わる掛け軸「絹本著色鳥羽天皇像」などを国の重要文化財(美術工芸品)に指定するよう、下村博文文部科学大臣に答申した。これにより県内の国指定文化財は447件となる。〔写真は県教育委員会提供〕

 指定されることになったのはこの他、県内の個人が所有する海上通行証「過所船旗(かしょせんき)天正九年三月廿八日」一幅。

 県教委文化遺産課によると、「絹本著色鳥羽天皇像」(173・8㌢×127・7㌢)は、平安時代後期の鳥羽天皇(在位1107―1123)をほぼ等身大に描いた作品で、14世紀の南北朝時代に描かれたとされる。

 根来寺は、平安時代後期の僧・覚鑁(かくばん、1095―1143)によって高野山に創建された大伝法院を前身とする。鳥羽上皇(当時)は覚鑁を手厚く保護。大伝法院の供養料として荘園を寄進するなど、大きな支援を行った。そのような背景から上皇の没後には、大法院で恩に報いる法要が営まれるようになり、掛け軸はその際にも使われていた可能性がある。

 根来寺では鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて伽藍の整備が順次進行する中、開基の鳥羽天皇の肖像画制作が行われたと推測され、中世肖像画研究の上でも重要な作例であるとされた。

 「過所船旗天正九年三月廿八日」(58・4㌢×43・2㌢)は天正9年(1581)、瀬戸内海域で勢力のあった村上氏の当主・村上武吉が発給。中央に村上氏の家紋「上」の字が墨書され、右側には受給者の名前・向井弾右衛門尉」とあり、この人物は雑賀衆の一員とみられている。

 雑賀衆は鉄砲隊を率いたことで知られるが、紀淡海峡を起点に瀬戸内から九州まで広範囲の海上で海運業を営む集団の側面もあった。

 雑賀衆は石山合戦で、毛利水軍の主力として本願寺を救援した村上氏と協働。

通交証の宛て名が雑賀衆の一員とされる人物になっていることにも結び付き、交通の大動脈であった瀬戸内海の海上交通の実態を伝える貴重な資料であるとされた。

絹本著色鳥羽天皇像

絹本著色鳥羽天皇像

過所船旗・天正九年三月廿八日

過所船旗・天正九年三月廿八日


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