障害者が暮らしやすい社会を推進するため、県障害福祉課は新年度、障害者用駐車場の適正利用の促進など3つの新規事業に取り組む。駐車場は利用対象者に許可証を発行し、車いす利用者など必要な人が安心して駐車できる環境を整備する。
障害者用駐車場は車いすマークが表示された駐車場で、多くが店や施設の入り口近くに設けられている。現状では、健常者が駐車していても駐車場管理者は利用対象者の車かどうかの判断が難しく、結果、誰でも駐車できるような状況になっている。
新事業では、利用対象者に許可証を発行し、車に掲示してもらうことで、利用対象者かどうかを明確化。駐車場管理者は許可証のない車に指導しやすくなる。利用者や駐車場管理者への周知、許可証の発行・駐車場登録などの期間を経て、来年1月から運用開始する予定。平成27年度当初予算に約220万円を計上している。
同様の取り組みは佐賀県が平成18年、全国に先駆けて「パーキングパーミット(身体障害者用駐車場利用証)制度」として始め、現在31の自治体が実施。近畿地方では和歌山県と奈良県が未実施で、奈良県も27年度中の運用開始を予定している。
その他、「重症心身障害児者等在宅医療等連携体制整備」事業では、医療依存度が高い重症心身障害児者が安心して在宅で生活できるように、地域の連携体制を整備する。県内4カ所の「医療型障害児入所施設」に1人ずつ専任職員を配置し、地域の病院を含めたチームの連携を調整する他、スキルアップ研修会などを開いていく。約3180万円の予算を計上している。
「早期退院・地域定着のための精神障害者支援体制整備」事業では、1年以上長期入院している精神障害者の早期退院などを支援するため、県内8圏域にある自立支援協議会の相談支援事業所に「地域移行促進員」を委託。促進員が長期入院患者に入院中から関わることで、退院意欲の喚起や、周囲の退院支援意欲を促進する体制整備などを行う。約1040万円の予算を計上している。