県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)にある国の特別史跡・岩橋千塚古墳群「大日山35号墳」(6世紀前半)の墳丘上に、市民らが手作りで復元した埴輪(はにわ)が設置され、約1500年前の古代の様子が再現された。埴輪は6年がかりで製作し、製作者の手で7日に並べられ、8日にオープニングを迎えた。
大日山35号墳は全長約100㍍の県内最大規模の前方後円墳。史跡整備のため平成15年度から18年度にかけて発掘調査が行われ、翼を広げた鳥形埴輪や人の顔が両面にある両面人物埴輪など、全国初となる珍しい埴輪が出土した。
古墳の円形と台形が組み合う部分(くびれ部)の両側に「造り出し」と呼ばれる張り出した場所があり、この部分には、筒形の円筒埴輪を周囲に立て並べ、その内側には動物や人物、家などをかたどった形象埴輪が置かれていたことが明らかになった。
調査結果を受け、東側の造り出しの場所に埴輪を再現しようと、紀伊風土記の丘は平成20年から実物大の埴輪の手作り教室を定期的に開催。市民ら約60人が参加し、円筒埴輪(高さ約65㌢)や朝顔形埴輪(同約90㌢)を復元してきた。
古墳上に復元した埴輪を設置するのは県内では初の試み。7日の設置式には中学生や親子連れなど製作に携わった市民ら30人が参加。専門業者が作った家や馬、犬などの埴輪17個を囲むように、東西6㍍、南北8~10㍍のスペースに、製作日や製作者の名前を刻んだ92個の埴輪を設置した。
同所は散歩コースの一つという岩出市根来の河辺順子さんは「自分が作った埴輪が加わり、ここに来る楽しみが増えました。ぜひ多くの人に足を運んでほしい」とうれしそう。
学芸員の仲原知之さん(40)は「並べてみると、立派なものができたと感じます。1500年前にはこういうものがあったんだと、皆さんに愛着を持って見てもらえればうれしい」と話していた。
8日はオープニング式典があり、学芸員による現地解説などが行われた。
ガイドツアー開催
22日午後1時半から、同所で古墳ガイドツアー「大日山35号墳とその周辺」が開かれる。
同古墳周辺を、風土記の丘の古墳ガイドの解説を聞きながら巡る。普段は公開していない同古墳の横穴式石室に入り、この地域に特徴的な石梁・石棚を持つ岩橋型横穴式石室について学ぶ。登山道を歩くため、歩きやすい服装と靴での参加を呼び掛けている。
入館料が必要。申し込みは紀伊風土記の丘(℡073・471・6123)。