加太湾近くに位置する和歌山市深山の山中で、地元住民らが市の「自主防災組織避難路整備費補助金交付事業」で100万円の補助を受けて整備を進めてきた避難路が、間もなく完成する。3月1日には完成した避難路を使い、住民らを対象にした避難訓練を実施する予定。
深山地区は、小学生から90歳代までの64世帯165人が生活。その6割近くが高齢者で、南海トラフ地震の津波が発生した場合、周辺の浸水や冠水も予想されており、素早く安全に避難する方法などが課題になっている。
今回整備したのは、深山自治会館北側すぐの山の入り口から20㍍ほどの道。海抜20㍍ほどの高さまで階段と手すりが整備される。既存の山道とつながっており、さらに上まで避難できる。
同地区は、南北を山に挟まれた地形で、大規模災害時には孤立する可能性があり、地区独自の災害対策を検討するため3年前に防災委員会を発足。委員らが避難方法などを検討していた。
同整備は昨年5月ごろ、市から補助金事業への応募の提案があり、住民らにアンケートを取った上で、委員会で議論して決定した。
同委員会の小田精委員長(66)=加太地区深山自治会長=は「避難路は確保したので、今後は災害備蓄品など、避難後のことも考えて取り組みたい」としている。
市総合防災課によると、同補助金事業は24年度に開始し、1件につき上限100万円を補助している。24、25年度ともに5件約500万円を交付した。本年度は現在のところ、深山地区の1件という。