円安が県内事業者に与える影響について、「デメリットが大きい」と考えている事業所が4割近い37・2%に上ることが、和歌山社会経済研究所の調査で分かった。円安には、輸出増や国内生産回帰による受注増などのメリットが一部でみられるものの、原材料や商品の仕入れ価格の上昇などのマイナス要因を重視する声が上回った。
調査は昨年11月28日~12月17日に実施し、対象2000社のうち785社(39・3%)が回答。調査期間の為替水準は120円前後。
円安の影響についての回答を産業別でみると、「デメリットが大きい」は、飲食料品卸や衣料品小売などの商業で48・8%、繊維や木材・木工などの製造業で46・9%に達した。「影響はない」は、サービス業、建設業で多く、4割を超えた。「メリットが大きい」は全産業で3・9%だった。
円安に伴う仕入れ価格上昇に対する価格転嫁については、「十分に転嫁できている」と答えたのは全産業で10・4%にとどまり、多くの事業者で十分な転嫁が進んでおらず、「仕入れ材料・商品、サービスの見直し」「水道光熱費・燃料費の節約」「人件費抑制」などでコスト削減に取り組んでいる声が聞かれた。
今後の事業展開の方向性については、製造業は「製品改良・製品開発」、商業は「取扱商品の見直し・商品開発」が最多。どの産業においても、消費税引き上げや円安の進行、人手不足など企業を取り巻く厳しい状況から「価格競争力の強化」は減少し、「取り組みの予定はない」が増加した。